デジタル・ナレッジが運営するeラーニング戦略研究所は、2026年9月に「小中高・大学におけるAI活用比較調査報告書」を公開した。2026年に実施・公開した「小中高におけるAI活用実態調査」と「大学におけるAI活用実態調査」の結果を横断的に整理したもので、学校段階による共通点や特徴を把握できる内容となっている。
教員自身のAI利用頻度を比較すると、「ほぼ毎日」または「週数回」利用している教員は、小中高で63.1%、大学で71.3%だった。特に「ほぼ毎日」と回答した割合は、小中高19.5%に対し大学31.3%で、大学の方が高い結果となっている。
授業準備での利用用途をみると、小中高・大学ともに「教材作成」が50.4%で最多だった。そのほか課題作成や解説・補足資料の作成など、学校段階を問わずさまざまな授業準備でAIが活用されている。
AIを教育現場にとって「非常に有用」「ある程度有用」と回答した割合は、小中高88.7%、大学89.6%と、いずれも約9割に上った。
児童生徒・学生のAI利用状況では、大学で「学生が自主的に利用していることを把握している」と回答した教員が58.3%で最多となった。一方、小中高では「児童生徒は利用していない(またはほとんどない)」との回答が21.8%で、大学の0.9%との差がみられた。
AIを利用している児童生徒・学生の用途をみると、小中高では「調べ学習(情報収集・整理)」が76.3%でもっとも多く、大学では「レポート作成」が82.9%で最多となった。学校段階によって、AIが使われる場面にも特徴がみられる。
AI利用に対する教員の認識では、大学で「思考力の低下につながる懸念」(67.8%)、「依存が進む懸念」(64.3%)が小中高を上回った。一方、双方で「情報活用能力の向上につながる」「学習理解の促進につながる」といったAI利用の効果を評価する回答もみられた。
AI利用に関するルールについて、「利用に関するガイドラインがある」と回答した割合は、小中高28.6%に対し大学52.2%となった。一方、「特にルールはない」は小中高45.1%、大学13.9%で、学校段階によって違いがみられる。
提出物におけるAI利用の扱いでも、大学では「申告・明記を必須としている」「任意で申告・明記を求めている」など、何らかの方針を定めている割合が小中高より高い結果となった。
AI利用に関する懸念では、「誤った情報の生成」「思考力や学力の低下」「著作権」「個人情報」などが、小中高・大学の双方であげられた。中でも大学では「思考力や学力の低下」が70.4%と、小中高の45.1%を上回った。また、大学独自の選択肢である「レポート不正」は73.0%に上っている。
今後必要な支援については、小中高では「教員向け研修の充実」が63.2%で最多となった一方、大学では「盗用・不正利用の検知機能」が60.9%でもっとも高い結果となった。「安全に利用できる生成AI環境」や「活用事例・指導方法の共有」などは双方で求められており、共通する支援ニーズがある一方、学校段階によって重点にも特徴がみられる。
同報告書は、2026年に実施・公開した2つの調査結果をもとに再編した比較レポートである。調査方法はアンケート専門サイトを用いたWebアンケート調査。調査期間は小中高調査が2026年4月20日~4月23日、大学調査が2026年7月2日~7月8日。調査対象は、小中高調査が小学校・中学校・高校の校長、副校長・教頭、主幹教諭、主任教員、ICT担当教員、一般教員で、有効回答数は133名。大学調査は国公立大学・私立大学の教授、准教授、講師、助教、特任教授・客員教授(いずれも常勤教員)で、有効回答数は115名。
同報告書はデジタル・ナレッジのWebサイトで公開されている。










