神奈川県教育文化研究所は2026年5月23日、「調整授業時数制度に関するアンケート調査」の結果(速報版)を公表した。調整授業時数を生み出すうえで削減が難しいと思われる教科は、小学校の「算数」が突出して多かった。
「調整授業時数制度に関するアンケート調査」は2026年4月7日~5月10日、神奈川県内に勤務する公立小・中・義務教育学校の教職員を対象にGoogle formを利用して実施したもの。5月10日時点の総回答数は1,405件。
授業時数を弾力的に設定できる「調整授業時数制度」は、次期学習指導要領改訂の議論の目玉の1つ。今回のアンケート調査では、中教審の初等中等教育分科会教育課程部会が1月19日に開催した第5回総則・評価特別部会の配布資料「調整授業時数制度等の具体化について」をもとに、調整授業時数制度実施に係わる教育課程編成上の可能性や課題、活用の方向性などを尋ねた。
「あなたが調整授業時数を生み出すうえで、比較的時数削減が可能と思われる教科等はあるか」という質問には、全体で61.8%が「ある」と回答。校種別にみると、小学校64.3%、中学校51.6%と、小学校教員のほうが削減可能とする割合が高かった。年代別では、小学校・中学校ともに30代と40代が高く、20代と50代以上が相対的に低い傾向を示した。
比較的時数削減が可能とする教科の割合は、全体では「総合」57.5%、「国語」41.0%、「道徳」38.8%の順に高かった。校種別では、小学校は「総合」「国語」「道徳」「生活」の順、中学校は「総合」「道徳」「特別活動」の順に高い傾向を示した。
一方、「あなたが調整授業時数を生み出すうえで、時数削減が難しいと思われる教科等はあるか」という質問では、全体の75.2%が「ある」と回答した。校種別では、小学校76.6%、中学校70.0%。年代別では、ベテラン層になるほど、時数削減が難しいと思う教科等が増加する傾向にあった。
時数削減が難しいと思われる教科は、校種による違いが顕著で、小学校では「算数」82.8%、「国語」54.9%、「社会」40.4%の順に多く、中学校では配当される授業時数が少ない教科ほど「難しい」と回答した。「もっとも時数削減が不可能と思われる教科等」を尋ねた結果でも校種による違いが顕著で、小学校では「算数」が65.2%と突出した。さらにその割合はベテラン層になるほど増加傾向にあった。
神奈川県教育文化研究所では、小学校の算数が突出している調査結果について「算数がすでに標準授業時数内で実施することが困難な状況にあることが想定される」と分析している。
算数・数学の時数削減が不可能と回答した教員の自由記述には、「学習内容を減らさないと授業時数は簡単には減らせない」「計算や作図に時間がかかり、予定時数の1.5倍ほどかかるので、普通にやっていても時数が足りていない」などの声が寄せられた。
このほか、学校が調整授業時数を生み出して活用することで良い点については「教員にとって、年間総授業時数が実質的に削減される可能性があることから、放課後などにおいて、教材研究・研修等枠への活用が可能となる」がもっとも支持された。
学校が調整授業時数を生み出そうとすることで生じる問題は「標準時数を下回る教科等の学習において、実験や実習、実技、探究など学習内容を十分に扱うことが難しくなる」が顕著に多かった。














