教育業界ニュース

【全国学力テスト】学力格差拡大、スマホ・ゲームの影響も…経年変化分析調査

 2024年度に行われた全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の経年変化分析調査で2025年7月31日、小学校の国語と算数、中学校の国語と英語の平均スコアが低下していることがわかった。中学校英語を除くと、SES(家庭の社会経済的背景)が低い層のほうがスコア低下が著しい。

教育行政 文部科学省
令和6年度全国学力・学習状況調査の経年変化分析調査(概要)のポイント
  • 令和6年度全国学力・学習状況調査の経年変化分析調査(概要)のポイント
  • 令和6年度全国学力・学習状況調査の経年変化分析調査(概要)のポイント
  • 令和6年度全国学力・学習状況調査の経年変化分析調査(概要)のポイント
  • 令和6年度全国学力・学習状況調査の経年変化分析調査(概要)のポイント

 2024年度に行われた全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の経年変化分析調査で2025年7月31日、小学校の国語と算数、中学校の国語と英語の平均スコアが低下していることがわかった。中学校英語を除くと、SES(家庭の社会経済的背景)が低い層のほうがスコア低下が著しい。

 文部科学省では、全国的な学力の状況を把握し、今後の教育施策の検証・改善に役立てるため、全国学力テストにおける「経年変化分析調査」を数年おきに実施している。2024年度調査では、層化集落抽出法によって選ばれた国公私立の小学校PBT・CBT各600校、中学校PBT・CBT各750校を対象に実施。小学校は国語・算数の2教科、中学校は国語、数学、英語の3教科について経年の変化を分析した。

 もっともスコアが低下したのは、中学校英語。前回調査比(2021年度比)22.9ポイント減。2024年度のスコア分布(累積相対度数分布)をみると、2021年度の左側(低下)に移動しており、学力上位層から下位層まで全体の学力が低下していることが観察できた。このほか前回調査比で、小学校算数20.9ポイント減、小学校国語15.9ポイント減、中学校国語12.7ポイント減となり、小学校の国語と算数、中学校の国語でも2桁を超える低下がみられた。

 経年変化分析調査のスコアは、スマートフォンやテレビゲームの使用時間が長いほど、低い傾向にある。保護者調査によると、スマートフォン・テレビゲームの使用時間は前回調査から増加。SES(家庭の社会経済的背景)が低いグループほど、勉強時間が短く、テレビゲーム・スマートフォンの使用時間が長かった。SES(家庭の社会経済的背景)が同じ層同士を前回調査と比較すると、特に小学校国語、中学校国語、中学校数学において、SESが低い層のほうがスコアの低下が大きい状況が確認されている。

 学力低下の要因については、新型コロナウイルス感染症による影響も指摘されている。文部科学省は、中長期的に継続して分新する必要があるとし、次回調査(2027年度予定)以降の結果もあわせて、引き続き分析するとしている。なお、今回の調査では、CBTへの移行に向けて、同一の内容の問題についてPBTとCBTで実施。調査結果には、PBTとCBT調査の実施方法の違いが解答に影響(モードエフェクト)を与えたと考えられる問題と、その原因として推測されることについてもまとめている。

 調査結果は、国立教育政策研究所のWebサイトで公開している。

《川端珠紀》

この記事はいかがでしたか?

  • いいね
  • 大好き
  • 驚いた
  • つまらない
  • かなしい

【注目の記事】

特集

編集部おすすめの記事

特集

page top