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教職員の未配置3,662人、学校現場全体で人手不足…全教調査

 全国の学校で3,662人の教職員未配置が起きていることが2025年7月17日、全日本教職員組合が実施した実態調査結果から明らかになった。36都道府県12政令市のうち、「未配置なし」と回答したのはわずか1政令市。未配置への対応では、「見つからないまま」が6割を超えた。

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教職員未配置の状況(校種・未配置の内訳)
  • 教職員未配置の状況(校種・未配置の内訳)
  • 未配置への対応

 全国の学校で3,662人の教職員未配置が起きていることが2025年7月17日、全日本教職員組合(全教)が実施した実態調査結果から明らかになった。36都道府県12政令市のうち、「未配置なし」と回答したのはわずか1政令市。未配置への対応では、「見つからないまま」が6割を超えた。

 実態調査は、全教・教組共闘連絡会に参加する組織を通じ、各都道府県市区町村教育委員会に対して、教職員未配置の実態を明らかにすることを求めるとともに、調査用紙を組合員に配布するなどして、36都道府県・12政令市から集約した。調査対象日は2025年5月1日。

 調査の結果、36都道府県12政令市で、3,662人の未配置が起きていることが明らかになった。校種別にみると、小学校1,478人、中学校1,184人、高等学校418人、小中一貫校・義務教育学校・中等教育学校10人、特別支援学校514人、校種不明58人。「未配置なし」と回答したのは、わずか1政令市だった。

 未配置の内訳は、「産育休」499人、「病休」279人など「代替者の欠員」がもっとも多く1,058人にのぼった。このほか、「定数の欠員」771人、「途中退職による欠員」20人、「加配の欠員」160人、「短時間勤務時間講師」611人など。

 未配置に対する対応は、「見つからないまま(人的措置なし、校内の教職員でやり繰り、少人数授業とりやめなど)」が64.4%を占め、前年度の2.28倍に増えた。一方、「非常勤等で対応(授業の「穴」のみ埋めるが、校務分掌など他の業務は埋まらない)」は31.6%で、前年度の72.7%から大きく減少した。前年度同時期には見られなかった「他校に勤務している正規教職員の兼務」が3.4%報告された。

 33都道府県9政令市のみを抜粋した前年度同時期の調査では、教職員未配置は3,067人であり、全教は「未配置はほぼ同水準、依然として年度当初から多くの未配置がある、極めて深刻な状況」と分析している。2025年度は、事務職員や部活動指導員、特別支援学校の調理員、介助員など、教員以外の職員でも欠員が報告されており、学校現場全体で人手不足が起きているという。

 記述欄の抜粋も公開。「担任不在のクラスはすでに崩壊していた」(小学校)、「日によって教師が入れ替わるため子供が落ち着かない」(特別支援学校)、「病休代替が見つからない」(高等学校)など、教職員未配置による厳しい実態が語られている。

《奥山直美》

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