包括的性教育が中学生にとって必要だと考えている割合は、教員が62.8%・保護者が69.8%にのぼることが、正進社の調査結果より明らかになった。
このアンケート調査は、2024年4月1日から2025年3月31日までの期間に行われ、80校の生徒7,887人、教員200人、保護者630人が回答した。調査の目的は、中学校における包括的性教育の実施状況やその効果を把握することにある。
正進社は、2023年12月1日から2024年1月15日にかけてクラウドファンディング「# 学校で性教育を」を実施し、総額698万4,893円の支援を受けた。この資金をもとに、中学校向けの包括的性教育教材「コロカラBOOK」を全国の3万5,000人を超える中学生に無償配布した。
コロカラBOOKは、性教育に関する情報を提供する教材であり、生徒たちにとって「知ることができてよかった」と感じる内容が多く含まれている。調査によれば、性暴力にあった際の証拠の残し方や無料で検査が受けられる場所について知り驚いたという声が49.8%にのぼった。また、「普通」という言葉がどれだけの人を苦しめているかを考えさせられたという意見もあった。
教員の回答では、コロカラBOOKを使った授業が生徒たちにとって有益であるとする意見が多く、62.8%が包括的性教育が中学生にとって必要だと考えている。教材が整っているため、授業準備の時間が短縮され、教員による指導の違いが生まれにくいという利点も指摘された。
保護者の間でも、69.8%が包括的性教育が中学生にとって必要だと考えており、学校での実施を支持している。保護者の意見では、性教育の教材を購入して学校で授業を実施することについて、52.7%が「実施したほうがよい」と回答している。
コロカラBOOKの内容について、生徒たちは「自分の意思を尊重していいこと」や「今日から始められることが書いてあったのが良かった」といった意見を持っている。また、ジェンダーに関する取り組みや差別についてさらに調べたいという声もあった。
教員からは、コロカラBOOKが人権や生き方に焦点を当てた内容であり、道徳の授業で活用できるといった意見が寄せられた。無料で配布されていることも評価されており、授業で積極的に使うことができるという。
保護者からは、フラットな描き方で読みやすく、ネット時代の子供たちにとって正しい情報をピックアップするのに役立つという意見があった。また、性教育が生徒全体の認識を一致させることで効果を発揮するとの見解も示された。