あべ文部科学大臣は2025年7月22日の記者会見で、通級指導を利用する小中高校の児童生徒数が20.3万人と過去最多になったと報告した。このほか、医療的ケア児の支援、参議院選挙の結果などについて方針や見解を述べた。
文部科学省では通級指導の充実に向け、小中学校における担当教員の基礎定数化や高校における加配定数措置など、担当教員の確保に取り組んでいる。同省が実施した2023年度調査によると、通級指導を利用する小中高生は20.3万人で過去最多を更新。あべ文部科学大臣は、これまでの体制整備や特別支援教育への保護者の理解が進んだ結果と受け止めていると述べた。一方、小学生に比べて、中高生の利用者数が少ない実態が浮上しており、今後も一層の充実に努める方針であると語った。
また、学校における医療的ケア児の支援についても言及。2022年の調査では、幼稚園から高校までの医療的ケア児のうち12.7%が学校生活で保護者の付き添いを必要としていることが明らかになった。文部科学省は、看護職員の配置に関わる補助事業予算の拡充や人材確保に向けた取組みを推進。各学校が適切な対応を行えるよう、引き続き支援の充実に努める意向を示した。
このほか、参議院選挙で与党が過半数割れとなったことについて記者から見解を求められた。あべ文部科学大臣は、「今回の選挙は大変厳しいものであり、その結果は重く受け止めなければならない」と話した。また参院選で躍進した参政党が教育勅語の尊重を掲げていることについては、「一般に、憲法や教育基本法に反する形で教育勅語を用いることは許されない」と指摘した。教育勅語は、明治時代に「国民が守るべき道徳」を示した歴史的文書。現代の教育制度においては、憲法や教育基本法に基づく教育が求められるため、そのままの形では用いることはできない。