文部科学省は2025年4月7日、経済協力開発機構(OECD)から「公平で包摂的な幼児教育・保育を目的とした政策への研究の転換」調査研究プロジェクトの成果を取りまとめた資料「OECD幼児教育・保育白書第8部幼児教育・保育への投資による不平等の是正(Starting Strong VIII: Reducing Inequalities by Investing in Early Childhood Education and Care)」が公表されたと発表した。4月18日には、東京大学大学院教育学研究科附属発達保育実践政策学センター主催による、2025年度CEDEP公開シンポジウムがオンライン開催される。
「OECD幼児教育・保育白書第8部幼児教育・保育への投資による不平等の是正」は、「公平で包摂的な幼児教育・保育を目的とした政策への研究の転換」調査研究プロジェクトとして、子供の発達、学習、福祉に関する最新の研究をもとに、幼児教育・保育の政策を見直し改善することを目的に、2023年から2024年の成果として取りまとめられた。報告書では、日本の「幼保小の架け橋プログラム」も取り上げられている。
「幼児教育・保育を通じた、より平等な機会と包摂性の確保がすべての子供たちに対して実現されるよう、幼児教育・保育の質の向上について」「保護者へのサポートを含む、関係機関などと連携したシステムおよびサービスの在り方について」などの調査研究が行われ、報告書は第1章から第10章までの研究報告とカントリー・ノートからなる。その中で、幼児教育施設と小学校との接続の重要性が述べられ、関連する各国の取組みの1つとして、日本の「幼保小の架け橋プログラム」が取り上げられている。
おもな内容は、子供の成長と学習の機会は生まれた環境に大きく左右され、恵まれない環境にある子供たちは質の高い幼児教育・保育を受けられていない傾向にある。これは、将来的な学力格差につながる可能性があると警告しており、遊びを基本としたアプローチに、多様性を重視し、基礎スキルを構築するカリキュラムフレームワークを開発することで、子供の発達に対応することができるとしている。すべての幼児教育・保育に関わる教職員の徹底した準備と継続的な研修が必要であるという。
報告書は全文英語で書かれており、OECD Libraryから全ページ閲覧可能。日本においては、報告書の内容について、4月18日に開催される東京大学大学院教育学研究科附属発達保育実践政策学センター(CEDEP)主催のシンポジウムで、OECD教育スキル局から説明が行われる。
◆2025年度CEDEP公開シンポジウム
「公平で包摂的な幼児教育・保育の実現に向けて~OECD幼児教育・保育白書第8部より~」
日時:2025年4月18日(金)17:00~19:00
会場:オンライン開催(事前申込制・当日まで受付可)