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日本語教師の過半数はボランティア、常勤は1割強…日本語教育実態調査

 文部科学省は2025年10月31日、2024年度(令和6年度)日本語教育実態調査の結果を公表した。日本語学習者数は引き続き増加し、前年度比3万1,028人増の29万4,198人。教える側の日本語教師はボランティアが53.1%を占め、常勤は13.6%であることが明らかとなった。

教育行政 文部科学省
日本語教育実施機関・施設等数の推移
  • 日本語教育実施機関・施設等数の推移
  • 日本語教師等の数(職務別)
  • 日本語学習者数の推移
  • 属性別日本語学習者数
  • 日本語学習者の出身地域別割合
  • 日本語教師養成講座等の出身国・地域別の状況・受講者数

 文部科学省は2025年10月31日、2024年度(令和6年度)日本語教育実態調査の結果を公表した。日本語学習者数は引き続き増加し、前年度比3万1,028人増の29万4,198人。教える側の日本語教師は5万309人のうち、ボランティアが53.1%を占め、常勤は13.6%であることが明らかとなった。

 日本語教育実態調査は、国内の外国人等に対する日本語教育の状況を把握するため、毎年度実施している。調査対象は、都道府県、市区町村、各教育委員会のほか、大学等機関、法務省告示機関、国際交流協会、特定非営利活動法人、学校法人・準学校法人、株式会社・有限会社、社団法人・財団法人等のうち、外国人に対する日本語教育または日本語教師養成・研修を実施している国内の機関・施設等。今回の調査期日は2024年11月1日現在。

 外国人等に対する日本語教育の現状についてみると、国内における日本語教育実施機関・施設等数は2,669(前年度比58減)、日本語教師等数は5万309人(同4,052人増)、日本語学習者数は29万4,198人(同3万1,028人増)。1990年度(平成2年度)と比べると、日本語教育実施機関・施設等数は約3.3倍、日本語教師等の数は約6.0倍、日本語学習者数は約4.9倍へ、それぞれ増加している。

 日本語教育実施機関・施設等数は、法務省告示機関が24.3%ともっとも多く、ついで、任意団体19.1%、大学等機関18.0%、地方公共団体12.3%、国際交流協会12.0%、教育委員会7.3%。

 日本語教師等数の割合は、法務省告示機関28.7%、国際交流協会16.6%、地方公共団体15.6%、任意団体15.6%、大学等機関8.9%、教育委員会4.5%の順となっている。職務別では、ボランティア53.1%がもっとも多く、ついで非常勤が33.3%で、常勤は13.6%にとどまった。年代別では60代が全体の21.7%、50代が19.3%。ボランティアの比率は、ボランティアの区分を調査項目に加えた2017年度以降、2021年度までわずかに減少が続いていたが、2022年度から3年連続で増加。依然として全体の約5割を占めている。

 日本語学習者数は、2020年度からの新型コロナウイルス感染拡大による入国制限等の影響を受けていた時期を除き一貫して増加傾向にあり、2024年度も引き続き増加。日本語学習者全体の65.4%が留学を目的に来日しており、3年未満の滞在が6割を超える。また、出身地域はアジアが84.5%ともっとも多く、ヨーロッパ3.1%、北アメリカ2.9%と続く。国別にみると、中国が最多の7万8,821人(26.8%)、ついでネパールが4万5,821人(15.6%)、ベトナムが3万3,547人(11.4%)。

 つぎに、日本語教師等の養成・研修の現状についてみると、国内で日本語教師等の養成・研修課程(コース)、科目等を設けている機関・施設等の数は713(前年度比13減)、教師等の数は6,239人(同562人増)、受講者数は3万3,179人(同2,160人増)。1990年度と比べると、機関・施設等は4.9倍、教師等は3.5倍、受講者は2.2倍に増加している。いずれも大学等機関が最多となっており、機関・施設等数全体の26.1%、教師等数全体の43.1%、受講者数全体の35.4%を占めた。日本語教師等の養成・研修の受講者の出身地域は、日本が87.9%を占めもっとも多く、ついで、中国3.5%、フィリピン0.5%の順となった。

 最後に、地域日本語教育コーディネーターの現状についてみると、国内における地域日本語教育コーディネーターを配置している機関・施設等数は292、地域日本語教育コーディネーター数は772人となっている。いずれも地方公共団体がもっとも多く、機関・施設等数全体の38.4%、地域日本語教育コーディネーター数全体の33.7%を占めた。地域日本語教育コーディネーターの業務内容は、「地域における日本語教育の企画・運営」が280件、「日本語教師等や関係機関との連絡・調整」が264件、「地域における日本語教育の実態把握」が235件、「日本語教師等の養成・研修」が179件であった。

《木村 薫》

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