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「はいチーズ!フォト」で業務効率化、開進幼稚園が18年間使い続ける理由

 共働きの子育て家庭が増え、幼稚園・保育園のICT化に注目が集まっている。インターネット写真販売サービス「はいチーズ!フォト」をサービス開始当初から利用している開進幼稚園の湯目崇史園長に、導入した背景や経緯、活用状況、先生方や保護者の声、今後の展望について聞いた。

事例 ICT活用
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「はいチーズ!フォト」で業務効率化、18年前に導入した幼稚園に聞く
  • 「はいチーズ!フォト」で業務効率化、18年前に導入した幼稚園に聞く
  • 開進幼稚園の湯目崇史園長
  • 地域の人たちに親しまれている開進幼稚園の園舎
  • 運動や自然とのふれあい、数や文字への関心、食育など、バランスのとれた教育を実践している

 共働きの子育て家庭が増え、幼稚園・保育園のICT化に注目が集まっている。インターネット写真販売サービス「はいチーズ!フォト」を運営する 千 は、2006年から提供している写真撮影とインターネットでの販売サービスを皮切りに、保育業務支援システムや、給食の食材配達といった食育サービスなどを提供し、幼稚園・保育園をサポートしている。

 「はいチーズ!フォト」は、カメラマンの派遣から写真販売までを行うサービスで、2006年からの注文枚数は約2億2,000万枚にのぼる。「はいチーズ!」シリーズを導入する団体数は全国で16,000を数え、330 万人以上の保護者が登録しているという。

 今回は「はいチーズ!フォト」をサービス開始当初から導入している東京都町田市にある開進幼稚園の湯目崇史園長に、導入の背景や経緯、今後の展望などを聞いた。

創立当初の思いを今なお受け継ぐ

--園舎がお城のようで素敵な幼稚園ですね。園内には、芝生があったり、メダカがいたり、太陽光発電設備があったり、といろいろな取組みをされているという印象をもちました。まず、開進幼稚園について教えてください。

 当園は1970年に創立者で初代理事長である私の祖父が個人立として開園しました。その後、1986年に学校法人化して現在に至ります。歴史が長いため、親子2代・3代で通ってくださるご家庭や、卒園してから先生として戻ってきている方もいます。幼稚園を訪れるみなさんが、ここに来ると心が温かくなる場でありたいと考えています。

 「幼児教育をやってみたい」「いつかお城に住んでみたい」と言っていた祖母の思いを、祖父が実現したのが当園です。園舎の中もからくり屋敷のような工夫を凝らした作りで、遊び心があります。外観はまさにお城をイメージしました。卒園した方からは、園舎のシンボルでもある「三角屋根が残っていて良かった」と言っていただくことが多いです。

地域の人たちに親しまれている開進幼稚園の園舎

--開進幼稚園の教育方針を教えてください。

 今の子供たちが大人になるころには、現在の職業の大半が人間からICTやAIに取って代わられると言われています。そうした中で自分の力で壁を乗り越えて道を切り開くことができる、どんな時代にも順応して進んでいける子供を育てていきたいと思っています。この「開進」という幼稚園の名前がまさに基本理念です。バランスのとれた教育を大切にしており、幼児期は人間の根っこになる部分を豊かに広げるために、さまざまな経験をしてほしいと思っています。運動や自然とのふれあい、数や文字への関心、食育など、すべてが子供たちに必要だからこそ、バランスのとれた教育を実践しています。

 特長的なのは、漢字を取り入れた教育です。持ち物の名前はすべて漢字で書く、漢字を使った絵本を読むなど、子供たちが日常的に楽しく漢字に触れる環境を作っています。子供は、漢字を記号や絵、マークとして認識するという特性があり、それを生かして絵本を読みます。すると、物語の世界観をつかめるようになるだけでなく、文字への興味・関心が高まって読書が好きになる。あるいは言葉でのコミュニケーションが豊かになるなどの教育効果があると言われています。

自宅から簡単に写真が購入できる便利さに着目

--「はいチーズ!フォト」をサービス開始当初から利用されているとのことですが、当時は、インターネットを使った写真販売はまだ珍しかったと思います。導入のきっかけを教えてください。

 「はいチーズ!フォト」を導入したのは18年前です。「はいチーズ!フォト」を当園が導入したころは、スマートフォンが今ほどには普及してはいませんでしたが「今後インターネットをさらに活用する時代になる。保護者の就労率も増加するので、自宅から写真を選んで購入できるシステムがあれば画期的だ」と、当時の園長が考えて導入しました。

 導入当初は「写真を掲示したほうが見やすい」「来園しなくなることで保護者同士のコミュニケーションがなくなる」という声もありました。また、自宅にインターネット環境がない方や、パソコン操作が苦手という方もいましたので、園にパソコンやサンプルブックを置き、それを使って購入してもらう方法を併用していました。その後、インターネットやスマートフォンがさらに普及したことで「はいチーズ!フォト」で写真を購入する保護者が増えていきました。

年間12万枚以上の写真で、子供たちのようすを保護者へ届ける

--「はいチーズ!フォト」をどのように利用していますか。

 「はいチーズ!フォト」にはプロのカメラマンを派遣してもらう「カメラマン撮影プラン」と、園の先生が撮影する「先生撮影プラン」の2つがあります。カメラマンには、夏祭り・運動会・秋祭り・お遊戯会といった4大行事をはじめ、祖父母の会や親子参加型イベントなどを撮影してもらっています。

開進幼稚園の湯目崇史園長

 当園は認定こども園なので、およそ3分の2が就労家庭です。子供たちの普段のようすを保護者に届けるため、大きな行事以外でもカメラマンに撮影をお願いすることがあります。「先生撮影プラン」では、日常の活動や遊びのようすを撮影しています。プロのカメラマンが撮る写真は素晴らしいものばかりですが、先生が撮影するからこそ見せる子供たちの表情も保護者には好評です。

 2023年度は、カメラマンに41件のイベント撮影をお願いし、6万9,551枚の写真を掲載しました。先生が撮影した写真の掲載枚数は5万8,368枚ありましたので、1年間で「はいチーズ!フォト」に掲載した枚数は12万7,919枚にのぼります。

 何度も撮影に来てくださっているカメラマンもいるので、「去年はここで集合写真を撮りました」など逆に教えてもらうこともありますね。いつも子供たちの緊張感を適度に和らげてくれて、自然体で撮れるよう距離感を保ってくれています。ハロウィンではカメラマンもコスチュームを着て一緒に楽しみながら、撮影してくれました。

--1年間で12万枚以上の写真を掲載しているとは驚きました。カメラマンの写真だけでなく、先生が撮影した写真も「はいチーズ!フォト」で販売しているのですか。

 はい。先生が撮影した写真も販売しています。「はいチーズ!フォト」には、子供たちの成長の記録がたくさん掲載されていますので、保護者は気に入った写真があれば購入されているようです。写真の数は非常に多いですが、顔検索機能の精度が非常に高いので「写真を探す際に非常に助かる」と保護者には好評です。写真の中心ではないところに少し姿が写っていたり、横顔でも認識してくれるので、とても便利ですね。

「はいチーズ!フォト」で写真販売の業務が効率化

--「はいチーズ!フォト」で職員の業務はどのように変わりましたか。

 「はいチーズ!フォト」を導入する前は、写真販売のお便りを書いて、印刷して、それを1枚ずつ折って子供たちのカバンの中に入れて、申込み封筒の回収と集金、袋や用紙をクラスごとにまとめて、写真館に渡していました。また、できあがってきた写真をひとりひとり間違いなく渡さなければいけないので、非常に手間のかかる業務だったと記憶しています。大きな写真であれば折れないように、厚紙を入れてから渡すということもやっていました。

 今は、写真販売に関する業務は、アプリで販売期間をお知らせするくらいしかありません。写真の管理作業は、先生が写真を撮るたびにハードディスクに写真データを入れておき、「はいチーズ!フォト」を担当する職員が定期的にアップロードするという流れです。アップロード中はほかの作業ができるので、導入前と比べれば、手間がまったく違います。当時と今を知る職員からは「本当に楽になった」という声があがっています。保護者は自宅から簡単に写真を購入でき、郵送してもらえて確実に届くので、安心です。

高精度の顔検索機能で我が子を逃さない

--「はいチーズ!フォト」について、保護者からはどのような感想が寄せられていますか。

 先ほどもお話ししましたが、本当にたくさんの写真が掲載されているので、幼稚園でのお子さんのようすが細かくわかると好評です。園でもブログやインスタグラムで日常のようすを発信していますが、あくまでも雰囲気を伝えるという方針で運営しています。ですので、「もっと知りたい、見てみたい」と思ったときに、「はいチーズ!フォト」を見ているという保護者もいます。

 カメラマンが撮影した写真は、行事やクラス、グループでカテゴライズされていますので、たくさんの写真の中からご自身のお子さんを見つけやすくなっていると思います。幼稚園では細かく写真を分けることはできないので、助かっています。一方で、先生が撮影した写真は、ざっくりとクラスでは分かれていますが、細かく分けられてはいませんので、顔検索機能を使って探している保護者も多いようです。購入した写真はページ内のアルバムに保存されるので、お子さんの成長も感じることもできますね。

写真を行事の振返りや卒園アルバムにも活用

--先生が写真を見返して実際の教育に生かすことはありますか。

 現状、教育の振返りとして「はいチーズ!」を最大限に活用できているかといえば、そこまではできていないかもしれません。「はいチーズ!フォト」では、利用園は過去6年度分の写真を見ることができますので、写真を振り返って、過去のイベントの運営状況や会場の設営などを確認することがあります。

 また、卒園アルバムの写真選定でも活用しています。卒園アルバムは担任の先生が、ひとりひとりの子供のベストショットを選定して作成します。「このイベントで、この子の写真を探したい」というようなときに、ある程度絞り込んだ写真の中から、顔検索機能を使って探すことで、アルバム作成にかかる時間も短縮できたと思います。

ひとりひとりの成長を振り返り、新たな気付きの可能性

--「はいチーズ!フォト」を今後、どのように活用していきたいですか。

 就労されているご家庭が年々増えていますので、普段見ることのできないお子さんのようすをこれからも積極的に発信していきたいと思います。

 日常の教育に生かすという点では、顔検索機能を使ってひとりひとりの成長を振り返ってみるのも良いかもしれません。当園は今、教育の振返りを大きなテーマにしています。実際に写真を見ながら、新たな気付きが得られる可能性を探っていきたいと考えています。

--ありがとうございました。

 湯目園長のお話から、「はいチーズ!フォト」の導入で幼稚園の写真販売にかかる業務は飛躍的に効率化し、保護者にも日々の子供たちのようすを細かく発信できるなど教育の質の向上にもつながっていることが良くわかった。膨大な量の写真の中から、保護者は高精度の顔検索機能により短時間で我が子の写真が選べるようになっている。

 幼稚園・保育園の現場にもこうしたICTサービスが導入されることで、業務の効率化、さらに保護者の利便性が向上し、ひいてはお子さんたちへのより良い保育・教育の提供につながることに期待したい。

はいチーズ!フォト

はいチーズ!

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《佐久間武》

佐久間武

早稲田大学教育学部卒。金融・公共マーケティングやEdTech、電子書籍のプロデュースなどを経て、2016年より「ReseMom」で教育ライターとして取材、執筆。中学から大学までの学習相談をはじめ社会人向け教育研修等の教育関連企画のコンサルやコーディネーターとしても活動中。

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