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教職調整額、働き方改革を条件に10%へ段階的引上げ…財務省案

 財務省は2024年11月11日、公立学校教員の残業代の代わりに給与の一定割合を支給する「教職調整額」について、働き方改革の進捗を条件に現行の4%から段階的に10%へ引き上げる案を公表した。文部科学省が要求している13%への引上げに対しては、「効果に乏しい」などと反論している。

教育行政 文部科学省
働き方改革の進捗と調整額引上げのイメージ
  • 働き方改革の進捗と調整額引上げのイメージ
  • 教員の給与(案)
  • 教員の給与(教職調整額について)
  • 教員の給与(「教職調整額13%」の問題点)

 財務省は2024年11月11日、公立学校教員の残業代の代わりに給与の一定割合を支給する「教職調整額」について、働き方改革の進捗を条件に現行の4%から段階的に10%へ引き上げる案を公表した。文部科学省が要求している13%への引上げに対しては、「効果に乏しい」などと反論している。

 教職調整額は、勤務時間の長短にかかわらず、教員の勤務時間を包括的に評価するものとして、給料の4%を支給するもの。文部科学省は、教職の魅力を向上し、教師に優れた人材を確保するため、人材確保法による処遇改善後の優遇分を超える水準となるよう、教職調整額の13%への引上げを2025年度予算の概算要求に盛り込んでいる。

 これに対し、財務省は11月11日の財政制度分科会で「本来、業務を所定内の勤務時間(週38時間45分)に収めていくことを目指すべきだが、現在の教員の勤務実態・働き方改革・メリハリ・効果といった観点からは、一定の集中改革期間(たとえば5年間)に学校業務の抜本的な縮減を進める仕組みを講じ、そのうえで、労基法の原則通り、やむを得ない所定外の勤務時間にはそれに見合う手当を支給することが、教職の魅力向上につながるのではないか」と説明。10%を目指して段階的に引き上げつつ、10%に達する際に所定外の勤務時間に見合う手当に移行する案を示した。

 10%に達する時期は、2030年度を見込む。移行による影響に留意する観点から、業務負担に応じたメリハリのある新たな調整手当の枠組みもあわせて検討することを提案している。

 働き方改革の進捗を確認したうえで教職調整額の引上げを決定する仕組みを付与し、インセンティブ付けすることも提案。働き方改革の具体的な内容には、中央教育審議会が学校における働き方改革答申で整理した「学校・教師が担う業務に係る3分類」の厳格化、勤務時間管理の徹底、校務DXの加速化による業務縮減などをあげた。

 財務省の案では、働き方改革が進捗せず、教職調整額が引き上げられなかった場合は、その時点で原因を検証し、外部人材の配置など、有効な手段に財源を振り向けるとしている。

 文部科学省が求める教職調整額の13%引上げに対しては、「実効性のある学校業務の縮減策と連動していない」「各教員の在校時間の差に応じたメリハリがない」「必ずしも教職の魅力向上につながらず、効果に乏しい」など、問題点を指摘。4%から13%に引き上げる場合の公費所要額である年間5,600億円程度の安定財源も示されていないと反論している。

《奥山直美》

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