GIGAスクール構想の一環として、国の補助金を利用して公立高校の生徒に貸与した学習者用コンピュータのうち、34%にあたる3万2,802台が一度も使われていないことが2024年10月15日、会計検査院の調査から明らかとなった。補助金相当額で12億7,048万余円にのぼるという。
文部科学省では、GIGAスクール構想の一環として、公立高校で奨学給付金を受給している世帯などの生徒に貸与するための学習者用コンピュータ整備に係る費用を1台あたり最大4万5,000円補助している。2021年度は19道府県の38事業主体が国庫補助金を利用。公立学校情報機器購入事業や公立学校情報機器リース事業により、学習用コンピュータ9万5,554台を整備し、38億1,309万余円を交付した。
会計検査院は、このうち、文部科学省および17道府県の30事業主体において、契約書、実績報告書、補助端末の貸与状況が記録された管理台帳を確認するなどして会計実地検査を行うとともに、3道県の8事業主体については補助端末の貸与状況に係る調書等の提出を受けて内容を分析。その結果、2024年4月末までの最大貸与台数は6万2,752台で、全体の34%にあたる3万2,802台、補助金相当額で12億7,048万余円が一度も使われていないことが明らかとなった。
特に14事業主体においては50%未満と低調。補助端末3万3,809台のうち最大貸与台数は7,547台にとどまり、今後の奨学給付金等受給世帯等の生徒への貸与の見込み数1万2,698台を加えても、1万3,564台は今後も利用される見込みがないことがわかった。利用しなかった理由は、新型コロナ感染拡大による奨学給付金等受給世帯数の増加が想定を下回り、補助端末の貸与希望者が少なかったためなどとしている。
会計検査院は、奨学給付金等受給世帯等の生徒への貸与が低調となっていて、今後も貸与が見込まれないものも多数ある事態は適切ではなく、改善の要があると認められると指摘。
文部科学省に対し、貸与が見込まれない補助端末の有効活用を図るための用途や方法を検討するよう要請するとともに、奨学給付金等受給世帯等の生徒への貸与の妨げとならない範囲で補助端末の生徒への貸与を促進するために、貸与の対象等を見直すなどの方策についても検討するよう求めている。