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大学改革「三つの方針」点検・評価91.7%…文科省調査

 文部科学省は2024年10月11日、2022年度(令和4年度)大学における教育内容等の改革状況について調査結果を公表した。卒業認定・学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)、教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)、入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー)の「三つの方針」の達成状況を点検・評価している大学は91.7%に達した。

教育行政 文部科学省
三つの方針に基づく大学教育の点検状況
  • 三つの方針に基づく大学教育の点検状況
  • 三つの方針に基づく教育の成果を点検・評価するための、学位を与える課程共通の考え方や尺度を策定している大学
  • 公表を行った教育研究活動等の情報
  • 履修証明プログラムの実施状況
  • ハラスメント等防止のための取組み

 文部科学省は2024年10月11日、2022年度(令和4年度)大学における教育内容等の改革状況について調査結果を公表した。卒業認定・学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)、教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)、入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー)の「三つの方針」の達成状況を点検・評価している大学は91.7%に達した。

 大学における教育内容等の改革状況調査は、大学の教育内容・方法の改革状況を定期的に調査して情報提供することで、各大学により積極的な改善に関する取組みを促すことが目的。2022年度は国公私立793大学のうち、781大学が回答した。このうち学部段階の母数は、国立82大学・公立93大学・私立583大学の計758大学。

 大学において育成すべき力を学生が確実に身に付けるためには、三つの方針(卒業認定・学位授与、教育課程編成・実施、入学者受入れ)に基づき個々の授業科目等を越えた大学教育全体としてのカリキュラム・マネジメントを確立し、教育課程の体系化・構造化を行い、学生等へわかりやすく示し、学修成果に関する情報の把握・測定を通じた教育内容の質向上に向けた取組みを行うことが重要とされている。

 各大学には、2017年度から三つの方針の一体的な策定・公表が義務付けられ、2020年1月には学修者本位の教育の実現を図るために取り組むべき事項と留意点をまとめた「教学マネジメント指針」が策定されている。このような中で、三つの方針の達成状況を点検・評価している大学は年々増えており、2022年度は91.7%に達した。

 その一方で、三つの方針に基づく教育の成果を点検・評価するための、学位を与える課程(プログラム)共通の考え方や尺度を策定している大学は74.0%、全学的な教育目標等とカリキュラムの整合性を検証する全学的な委員会を設置している大学は49.3%にとどまった。策定・公表した三つの方針に基づいた具体的な取組みの広がりは十分とは言えない状況にあり、文部科学省は具体的な取組のさらなる進展が必要だとしている。

 開かれた大学づくりに関しては、学生の学修時間を公表している大学が55.6%。大学の教育研究活動を通じた学生の成長実感を公表している大学が42.8%。教員1人あたりの学生数を公表している大学は63.9%にとどまり、「教学マネジメント指針」で社会から公表が強く求められている項目等の公表は十分とは言えない状況にあった。

 社会人等の学修の機会を拡充するための特別な課程として編成される「履修証明プログラム」を開設している大学は26.5%、受講者数は9,314人、証明書交付者(修了者)数は6,703人。2018年度調査時の開設大学22.1%、受講者数5,002人、証明書交付者数3,460人と比べ、取組みが進展していることが明らかになった。

 ハラスメント等防止の取組みを実施している大学は99.9%、ハラスメントに関する学生および教職員向けの相談窓口が設置されている大学は99.4%に達した。一方で、学外機関を活用した窓口を設置している大学は25.9%、学内の調査・対策機関に第三者を含める等の取組みを実施している大学は51.0%であった。

 文部科学省のWebサイトでは、詳細な調査結果に加え、個別回答データや事例紹介なども掲載している。

《奥山直美》

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