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高校生のインターネット・リテラシー、正答率は微増…注意項目も

 総務省は2024年6月11日、2023年度青少年のインターネット・リテラシー指標等に係る調査結果を公表した。高校生の正答率は71.4%で、前年度に比べ0.3ポイント上昇。リスク分類別の正答率では、「不適正取引リスク」に対応する問の正答率が59.6%ともっとも低く、注意が必要な点が明らかになった。

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2023年度 ILASテスト結果
  • 2023年度 ILASテスト結果
  • アンケート結果:家庭でのルールの有無・内容
  • アンケート結果:学校での学習内容
  • アンケート結果:偽・誤情報、生成AIに関する学習の有無
  • アンケート結果:トラブル遭遇状況
  • 【参考】平日1日あたりの平均スマートフォン利用時間と ILAS結果
  • 【参考】休日1日あたりの平均スマートフォン利用時間と ILAS結果

 総務省は2024年6月11日、2023年度青少年のインターネット・リテラシー指標等に係る調査結果を公表した。高校生の正答率は71.4%で、前年度に比べ0.3ポイント上昇。リスク分類別の正答率では、「不適正取引リスク」に対応する問の正答率が59.6%ともっとも低く、注意が必要な点が明らかになった。

 総務省は、インターネット上の危険・脅威に対応するための能力や現状等を可視化するテスト「青少年がインターネットを安全に安心して活用するためのリテラシー指標(ILAS)」を2011年度に開発。2012年度より毎年、高校1年生を対象にILASテストとアンケート調査を行っている。2023年度は75校1万3,108人を対象に実施し、結果を集計・分析して公表した。

 ILASテストの全体正答率は71.4%で、前年度の正答率71.1%をわずかに上回った。リスク大分類別の正答率をみると、「違法有害情報リスク」72.3%、「不適正利用リスク」72.7%、「プライバシー・セキュリティリスク」68.8%と、いずれも前年度より微増。大分類では、「プライバシー・セキュリティリスク」に対応する問の正答率が、そのほかのリスクに対応する問に比べてやや低い結果となった。

 リスクの中分類別の正答率では、過大消費、依存、歩きスマホ、マナー等の「不適切利用リスク」の正答率がもっとも高く80.7%。反対に、フィッシング、ネット上の売買等の「不適正取引リスク」の正答率が59.6%ともっとも低く、ネット上での取引に関するトラブルには注意が必要な結果となった。

 また、アンケート結果をみると、スマートフォンやSNSを利用する際の家庭でのルールがある生徒の正答率は、家庭でのルールがない生徒に比べ3.5%高い結果に。フィルタリング等の利用についても、利用している生徒の正答率が利用していない生徒に比べて2.0%高くなるなど、関連性がみられた。

 学校で教えてもらったインターネットを利用する際の注意点や対応策は何かとの問いでは、「ネットいじめ」87.9%、「個人情報・プライバシー」83.9%が8割を超え、回答が多く集まった。特に女子では9割前後まで回答が増えている。

 偽・誤情報(フェイクニュース)や生成AIに関する危険や注意点、対応策については、ともに「学校の先生」から教わったことがあるとの回答がもっとも多く、偽・誤情報は全体の54.1%、生成AIは26.7%となった。生成AIについては、もっとも多い「学校の先生」から教わった割合もおよそ4人に1人にとどまっており、「誰にも教わらなかった、特に調べなかった」が44.3%と、いまだ低い認知度合いとなっていることがわかる。

 トラブル遭遇経験については、全体の54.7%が「トラブルの経験はない」と回答。遭遇した経験のあるトラブルの内容については、「迷惑メールを受け取った」27.8%で最多。ついで、「インターネットの長時間利用により睡眠不足になった」21.6%、「偽・誤情報(フェイクニュース)に遭遇した」10.0%と続き、「偽・誤情報(フェイクニュース)をSNS等で拡散してしまった」は、わずかながら0.3%が経験したことがあると回答した。

 調査結果は、総務省Webサイトの報道資料に公表記事として掲載。テスト結果やより詳しいアンケート結果の全文を見ることができる。

《畑山望》

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