文部科学省は2024年1月19日、能登半島地震により被災した児童生徒の学習の継続について、学校の再開状況や地域の通信環境といった児童生徒を取り巻く環境に応じた学習の継続のための方法や工夫、留意点などを取りまとめた資料を公表。各教育委員会や学校設置者に向けて、できる限り学習が継続できる環境を整えるよう事務連絡として発出した。
能登半島地震の発生から3週間が経過し、学校再開の目途が立たない地域では児童生徒の2次避難が行われるなど、児童生徒が日々を過ごす環境が多岐に及ぶ状況になっている。文部科学省は、それぞれの実態を十分に踏まえたうえで、学習の環境を整えることができる場合には、できる限り学習の継続に取り組む必要があるとして、学校の再開状況や地域の通信環境など児童生徒を取り巻く環境に応じた学習の継続のための方法や工夫、留意点などについて現時点で想定されるものを取りまとめ、参考資料として公表した。
資料では、現時点で想定される児童生徒を取り巻く環境を、学校の再開状況と児童生徒の登校の状況という大きく2つの観点から分類。「学校が再開しているが通えない児童生徒」「学校が再開しているが、一部の教育活動に制限がある場合における登校できる児童生徒」「学校が再開していない場合における児童生徒」のそれぞれの状況での支援について、「A:誰と学ぶか」「B:何を学ぶか」「C:何で学ぶか」「D:どこで学ぶか」の4つの観点から、取り得る学習の方法や工夫、留意点などを整理している。
さらに、学校が再開しているが通えない児童生徒の支援については、より細かく状況を分類し、「教科書・教材使用可、ICT使用可」「教科書・教材使用可、ICT使用不可」「教科書・教材使用不可、ICT使用可」「教科書・教材使用不可、ICT使用不可」のそれぞれのケースごとに工夫や留意点をまとめている。
学校が再開しているが通えない児童生徒の学習の継続を支援する場合には、教師だけでなく保護者や避難場所の学習ボランティアなどと連携しながら、ICTが使える場合は授業のリアルタイム配信やICTを活用した動画・教材の活用を提示。ICTが使えない場合には、教科書や学校側で用意したプリント類やワークシートなどを用いて当面の学習をサポートすることが例示されている。
また、被災地域の学校や避難先の通信環境を早期に復旧させ、オンライン学習を整えることを目的に、文部科学省ではGoogle社の協力のもと、学習者用端末と回線契約付のWi-Fi ルーターを各1,500台程度確保。自治体の状況・要望に応じて無償貸与を進めていく予定としている。さらに、同事業者の協力を得て、無償貸与できる端末を追加で1,000台程度確保する見通しも立っており、国においても必要に応じて回線契約付のWi-Fiルーターを追加で無償貸与できるよう検討を進めるなど、柔軟に活用できるよう対応を進めている。
このほか事務連絡では、1人1台端末を活用する場合に活用できる学習コンテンツの紹介や、障害のある児童生徒・日本語指導が必要な児童生徒などの学習の継続、幼児の学びの継続、児童生徒などの健康観察についても、工夫点や留意すべきポイントを取りまとめている。