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さいたま市×NTT、不登校に「3D教育メタバース」活用実証

 NTT東日本とNTTスマートコネクトは2023年11月20日、さいたま市が取り組む実証事業において不登校の児童生徒に対する「3D教育メタバース」の提供を開始したと発表した。3Dメタバースを活用した不登校支援の取組みは、埼玉県内で初の試みとなる。

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実証の全体イメージと3D教育メタバースの位置付け
  • 実証の全体イメージと3D教育メタバースの位置付け
  • 3D教育メタバースの仮想空間イメージ
  • 3D教育メタバース活用案

 NTT東日本とNTTスマートコネクトは2023年11月20日、さいたま市が取り組む実証事業において不登校の児童生徒に対する「3D教育メタバース」の提供を開始したと発表した。3Dメタバースを活用した不登校支援の取組みは、埼玉県内で初の試みとなる。

 文部科学省が3月末に公表したデータによると、小・中・高の不登校児童生徒は約30万人に急増し、90日以上の不登校のうち学校内外の専門機関などで相談・指導を受けられていない小中学生は4.6万人にのぼるという。

 さいたま市教育委員会では、2022年4月に「不登校等児童生徒支援センター(Growth)」を開設し、ICTを活用した学習支援体験活動などによる不登校支援を展開。活動を通して、知識習得の機会だけでなく、不登校の児童生徒に「オンライン上での居場所や交流の『場』を確保し、仲間と学びあう新たな学び舎の必要性」を認識したという。

 こうした課題を解決するべく、今回、文部科学省の実証事業「令和5年度次世代の学校・教育現場を見据えた先端技術・教育データの利活用推進事業」を活用し、不登校の児童生徒の新たな学び舎の確保に向け、NTTスマートコネクトが提供する「3D教育メタバース」を活用した実証を開始した。

 実証事業は11月20日から2024年3月31日まで実施予定。仲間の存在や距離を実感できる臨場感のある3Dメタバース空間を活用し、性別や容姿を気にせず自己表現ができるアバターを通じたコミュニケーションによって、協働的な学びの授業や行事などを展開する予定だという。

 実証で採用する3D教育メタバースは、探究学習やアクティブラーニング、他校との交流授業などで活用できるよう、教室や集会所、小ルーム(面談室)、アクティブラーニングルームなど、教育に特化した仮想空間を提供。授業や全体集会、グループワークや面談といった学校特有のさまざまなシーンを想定した、実際の校内に近い感覚で活用できるサービスとなっている。

 仮想空間ならではの3Dオーディオによる臨場感のある会話や、翻訳も含めた音声の自動テキスト化と吹き出し形式での表示を取り入れたコミュニケーション機能のほか、音声や映像などのログ保存による出席確認、児童生徒の活動状況の振り返り、テキストチャットの冒涜フィルタなど、仮想空間での学び舎に適したサービスも搭載されている。

 実証事業において、さいたま市はGrowthによる先端技術を中核に据えた新たな学校の設置・運営と3Ⅾ教育メタバースを活用した授業・機会の提供を担当。NTT東日本は、3D教育メタバースのコーディネートと3Ⅾ教育メタバースを活用した授業の企画・実践、インターネット環境と無線LAN環境整備などを、NTTスマートコネクトは3Ⅾ教育メタバースの提供と操作説明などの支援を担う。

 実証事業を通して、今は孤独な環境にいる不登校の児童生徒がアバターによるコミュニケーションを通じて学びあえる新たな学び舎を築き、文部科学省が掲げる「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策(COCOLOプラン)」に則した、自分の力で社会的に自立していける支援を目指すとしている。

《畑山望》

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