文部科学省は2023年10月20日、2022年度(令和4年度)特別支援教育に関する調査結果を公表した。「学校教育法施行令第22条の3」に該当する障害の程度と判断された児童生徒は増加傾向にあり、このうち就学指定先が公立小学校の割合は34.2%と、就学先決定プロセスが現行の仕組みにあらためられた2013年以降でもっとも高かった。
特別支援教育に関する調査は、「学校教育法施行令第22条の3に規定する障害の程度に該当し特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査」「特別支援教育体制整備状況調査」「特別支援学校のセンター的機能の取組に関する状況調査」の3件。調査時点はいずれも2022年5月1日。
2022年度の小学校・特別支援学校小学部就学予定者(新1年生)のうち、2021年度に市区町村教育支援委員会などの調査・審議対象となったのは7万4,148人。このうち、「学校教育法施行令第22条の3」で定める視覚障害、聴覚障害、知的障害、肢体不自由、病弱の障害の程度に該当すると判断された者は1万3,035人。調査・審議対象となった人数と、そのうち22条の3の規定に該当する障害の程度と判断された者は増加傾向が続いている。
22条の3に該当する者のうち、就学指定先が特別支援学校小学部であった者は8,539人(65.5%)、小学校であった者は4,462人(34.2%)。公立小学校への就学を指定された者の割合は、前回調査の約26%より約8ポイント増加。学校教育法施行令改正により、就学先決定プロセスが現行の仕組みにあらためられた2013年(平成25年)以降でもっとも高かった。
2022年度の小学校第1学年在籍者のうち、22条の3に該当する在籍者数は4,089人。2022年度の中学校第1学年在籍者のうち、22条の3に該当する在籍者数は3,245人。学校種別にみると、小学校の91.2%、中学校の91.7%が特別支援学級に在籍。障害種別にみると、知的障害が小学校の86.5%、中学校の87.6%を占めた。
一方、国公私立幼保連携型認定こども園、幼稚園(幼稚園型認定こども園を含む)、小学校、中学校、義務教育学校、高校(通信制、専攻科は除く)、中等教育学校の全学校種において、校内委員会の設置は86.6%、発達障害を含む障害のある幼児児童生徒の実態把握の実施は95.9%、特別支援教育コーディネーターの指名は83.7%と、いずれも2018年度(令和30年度)の前回調査の数値を上回った。
特別支援学級に在籍する児童生徒のうち、個別の指導計画が作成されている割合は99.4%、個別の教育支援計画が作成されている割合は99.0%。小中高校で通級による指導を受けている児童生徒のうち、個別の指導計画の作成は98.0%、個別の教育支援計画の作成は95.1%。通常の学級に在籍する幼児児童生徒で、学校などが必要と判断した者のうち、個別の指導計画の作成は86.0%、個別の教育支援計画の作成は79.5%であった。
センター的機能を主として担当する分掌・組織を設けている特別支援学校は97.0%。センター的機能の取組内容として、小中学校などの教員や子供・保護者(自校に在籍する幼児児童生徒以外)からの相談対応を実施している特別支援学校は9割以上。2021年度(令和3年度)の相談延べ件数は、小中学校などの教員からが11万387件、子供・保護者からが9万2,998件であった。