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生成AI搭載のPDF編集ソフトWondershare「PDFelement」が改革する学校現場

 Wondershareは、日本の教育市場に製品を提供し、生成AI搭載の使いやすさや学校現場に導入しやすい料金体系などで存在感を高めている。近畿大学附属高等学校の乾武司教諭にPDFelementを実際に使っていただき、その操作性や学校現場での利活用の可能性について聞いた。

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生成AI搭載のPDF編集ソフトWondershare「PDFelement」が改革する学校現場
  • 生成AI搭載のPDF編集ソフトWondershare「PDFelement」が改革する学校現場
  • 保護者用の案内プリントを、日付を修正して再利用(サンプル文書です)
  • 紙からPDFに、さらにWordやPowerPoint等にボタンをクリックするだけで変換できる(サンプル文書です)
  • ChatGPTをベースとしたAIアシスタント「Lumi」を、PDFelement上で手軽に利用できる(サンプル文書です)

 動画編集などのクリエイティブソフトで知られるワンダーシェアーソフトウェア(以下、Wondershare)は、「PDFelement(PDFエレメント)」をはじめ、「動画編集ソフト「Filmora(フィモーラ)」、マインドマップ専用ソフト「EdrawMind(エドラマインド)」、作図&製図ソフト「EdrawMax(エドラマックス)」の4製品を日本の教育市場に提案。生成AI搭載の使いやすさや学校現場に導入しやすい料金体系などで存在感を高めている。

 今回、教育ICT利活用の第一人者、近畿大学附属高等学校の教育改革推進室室長 乾武司教諭にPDFelementを実際に使っていただき、その操作性や学校現場での利活用の可能性について聞いた。

学校現場で多用されるPDFファイルを再利用、さらに発展的な活用へ

 学校現場ではPDFが数多く利用されている。GIGAスクール構想による1人1台端末の整備も進み、特にコロナ禍で子供たちが登校できない事態もあって、オンラインを通じたPDFによる配布は定着してきている。

 「学校で利用される書類にPDFが占める割合はかなり大きいと思います。生徒には教材もPDFで送りますし、よほどの必要性を感じないと紙では配りません。生徒がPDFに自分の端末で書き込んで提出し、教員がそのままデジタルで採点して返却するケースも増えました。また保護者や教員間の連絡手段としてもPDFは一般的です。今後はそうしたPDFを、いかに汎用的に使い回しできるかが重要になるでしょう。その意味でもPDFelementは、PDFの再利用や発展的に活用するための便利なツールだと思います」(乾教諭)

 乾先生の授業では、教材として授業で配布したPDFには、生徒がデジタルペンで自由に書き込んで提出し、PDFですべてを処理することが頻繁に行われる。そのため教材を紙で印刷する必要性はあまり感じられない。

 「プリントはちょっとした変更が発生することが多いんです。たとえば、ヘッダーの部分やタイトル、対象のクラス名など。今までは、そうした修正をする際にも元ファイルを開いて編集して、PDFにして配信という手順を踏んでいました。それが、このPDFelementならば、元ファイルのPDFに直接変更を加えて次のバージョンとして使うことができます。これは非常にありがたいです」(乾教諭)

 テストも、実施する年度やクラスを必ず記入するが、同じような小テストは次の年も使いたい。これまでは原本を開いて情報を書き換え、新たなファイルを起こすことも多かったという。

 「少しタイトルを変更して再テストをしたくても、実際にはPDFしかない場合もあります。またほかの先生が作成したテストで、自分のクラスの生徒に再テストさせたいときに、同じフォーマットを使いたくてもそもそも原本がない。そんなときに紙からスキャンして条件や内容を変えることもPDFelementならできますね」(乾教諭)

 校務でもPDFelementは有用だ。たとえば、外部研修で配布されたPDFを校内研修用にPowerPointのファイルへ変換することもある。

 「今回、実際に配布されたPDFのファイルをPDFelementでPowerPointに変換しましたが、かなり良い精度で変換できますね。ほとんど修正なしで使えますし、見栄えが気になる場合は少し修正すれば良いと思います。資料の分割や必要な部分だけを利用する場合は、PDFelementのトリミング機能で切り貼りもできます」(乾教諭)

 保護者への配布プリントは、ほとんどがテンプレート化されている。そうしたテンプレートも修正が必要になるが、自分が作成者でない場合は、元ファイルがないと修正できない。

 「ほかのクラスで配った保護者用の案内プリントが良いので、自分も使いたいのに手元には紙しかない場合があります。それでも紙をスキャンしてPDFにすれば、データで修正できる。学校現場では教員間で持ち回っているドキュメントが数多く存在しますが、そのほとんどが決まったフォーマットに則っている定型文書です。それらをPDFelementで部分的に変更できれば、元のファイルをフル活用でき、工程の効率化から校務にかかる時間は大幅に短縮できます」(乾教諭)

保護者用の案内プリントを、日付を修正して再利用(サンプル文書です)

PDFelementの操作性と導入メリット

 これまで他社のPDF編集ソフトも利用してきた乾教諭は「PDFelementのUI(ユーザーインターフェイス)は直感的なアイコンで非常にわかりやすいと思いました。基本的にマニュアルを見なくてもひととおり使えます。画面の情報がとても良く整理されていますね」と操作性の良さを評価した。

 教員間で展開されるPDFは、WordやPowerPointなどの元ファイルがない場合も多く、印刷されたものを修正液で消して修正し、それをもう一度スキャンしてPDFにすることが現場では実際に行われている。ほかの多くのアプリでもPDF化は可能だが、スキャンしたPDFファイルから元のWordやPowerPointに戻すと精度が低く、原型をとどめない場合もある。また少しの修正ならばPDFのまま直接修正するだけで良いが、大きな修正になるとWordやPowerPointに戻したほうが編集しやすい。

 「PDFelementによるPDFからWordやPowerPointへの変換は優秀です。紙さえあればスキャンしてPDFにし、さらにWordやPowerPointに復元できる。なんだかんだ言って学校では紙しかないものってかなりあるんですよね。ただPDFはそのまま編集できない、元ファイルがないといった理由で使い回しが悪い面がありました。PDFelementでOCRスキャンすれば、文字データをPDF上でも編集できて、WordやPowerPointの原本の状態にも戻せます。紙しか残っていないものを再利用できるので便利ですね」(乾教諭)

紙からPDFに、さらにWordやPowerPoint等にボタンをクリックするだけで変換できる(サンプル文書です)

 また学校現場では、生徒の個人データをはじめとした機密情報が数多く存在する。こうした情報の漏洩を防止するためには、生徒の名前などを消す作業が頻繁に発生する。PDFelementならばPDF上で墨消しができ、元のテキストデータや関連データも完全に削除できるのでセキュリティも確保できる。

 「たとえば、ある生徒の作品例をPDFで配って紹介する場合、名前だけは絶対に消したいということは頻繁にあります。そのときに、PDFelementを使えば、いちいち他のアプリを立ち上げなくてもPDF上で消せて、かなり細かい消し方もできるので便利です」(乾教諭)

 なお、海外では一般的なサブスクリプションだが、まだ日本の教育市場ではクラウド利用の懸念やオンライン環境の問題から導入のハードルは高い。こうした環境にあってもPDFelementは永続ライセンスによるパッケージ版、いわゆる“買い切り”も選べるので、教育委員会や学校での導入もしやすい

生成AIを搭載した「PDFelement」の利便性と活用シーン

 ChatGPTをはじめとした生成系AIは、教育現場での利用がさまざまに模索されている。文部科学省からは2023年7月4日に「初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン」が公表され、学校現場での利用もいよいよ視野に入ってきた。PDFelementでは、ChatGPTをベースとしたAIアシスタント「Lumi」が搭載されており、文章の要約や校正、書き換え、説明などを任せることができる

 「これまではChatGPTを立ち上げておき、何か必要があればAIに聞いて、そこで生成されたものをコピペして実際のファイルに反映していましたが、PDFelementではそれがソフトウェア内のアイコンを押すだけでシームレスに実行できます。アシスタントや相談相手を横に置いておくという立ち位置が良いですね」(乾教諭)

ChatGPTをベースとしたAIアシスタント「Lumi」を、PDFelement上で手軽に利用できる(サンプル文書です)

 校務でも生成AIの利用は、さらに効率化を進める可能性がある。たとえば、保護者宛て文書の作成。時候の挨拶だけを変える場合、これまでは、どんな文章が良いのかをインターネットで検索して例文を出し、それをWordなどに入力し、PDFに書き出していたという。

 「PDFelementでPDFを開いて、横にあるAIチャットに聞いてPDFに貼り付ければ、Wordへの変換やChatGPTを開く手間もいりません。新規で書き起こす場合も、どういう書き出しにするかを、たとえば『4月に新入生の保護者対象のオリエンテーションを実施するが、何月何日に集まってもらうという文章を作ってください』などとAIチャットに聞いて草案を出してもらい、それを元に内容を修正できます。特に雛形を作る段階では助かりますね」(乾教諭)

 生徒がPDFelementのAIチャットを利用する場合は、どのような使い方が想定できるのだろうか。「もともとの文章の内容をまとめてくれる要約機能があります。たとえば、外国のいろんな文献を調べてまとめるときに翻訳もしてくれて、さらにそれを元に要約文を作る。すると内容把握の時間は大きく短縮できます」(乾教諭)

子供たちに望まれる今後の発展的な活用

 授業でもPDFを利用する機会が多い今の子供たちは、今後どのようにPDFelementなどのツールを活用していけば良いのだろうか。

 「PDFで配られる資料はとても多いので、それをPDFelementでファイル結合していき、その先生の1年間のPDFをすべてまとめて、必要のない部分を省き、自分用のコンパクトなノートを作ることも簡単にできると思います。子供たちには、先生から与えられたPDFをそのまま資料として大事に持っているだけではなく、取捨選択したり、必要な箇所をトリミングして再編集したりして、自分がよりわかりやすい内容に落とし込む、主体的に自分に寄り沿う教材に再構築してほしいですね。そのためにもPDFelementは、子供たちにも自由に発展的に活用してもらえると良いと思います」(乾教諭)

 乾先生のお話からは、PDFelementがあれば教員はもちろん生徒もさらに発展的なPDFの活用が可能になると感じた。またPDFには写真や音声、動画なども加えられ、語学学習や探求活動、表現力の育成、何らかの障がいのある子供たちへの学習支援での活用も視野に入る。PDFelementを使えば、AIをパートナーに利用する側の発想はさらに拡張されて、今後も数多くのメリットが生まれるのではないだろうか。

教育支援キャンペーン

 PDFelement 標準版(アカデミック版)は、1年間プラン(サブスク)が4,980円、永久ライセンス(買い切り)が5,980円。1年間プラン3,380円、永久ライセンス4,380円になる教育支援キャンペーンを実施している。

Wondershare PDFelement
《佐久間武》

佐久間武

早稲田大学教育学部卒。金融・公共マーケティングやEdTech、電子書籍のプロデュースなどを経て、2016年より「ReseMom」で教育ライターとして取材、執筆。中学から大学までの学習相談をはじめ社会人向け教育研修等の教育関連企画のコンサルやコーディネーターとしても活動中。

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