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小中学生8.8%、発達障害の可能性…文科省調査

 通常学級に在籍する小中学生の8.8%に、学習面や行動面で著しい困難を示す発達障害の可能性があることが、文部科学省が2022年12月13日に発表した調査結果から明らかとなった。学年が上がるにつれ減少傾向にあり、高校生は2.2%だった。

教育行政 文部科学省
「学習面または行動面で著しい困難を示す」とされた児童生徒数の割合
  • 「学習面または行動面で著しい困難を示す」とされた児童生徒数の割合
  • 「学習面、各行動面で著しい困難を示す」とされた児童生徒数の割合
  • 学習面における児童生徒全体の分布状況
  • 「学習面、各行動面で著しい困難を示す」とされた児童生徒の男女別集計

 通常学級に在籍する小中学生の8.8%に、学習面や行動面で著しい困難を示す発達障害の可能性があることが、文部科学省が2022年12月13日に発表した調査結果から明らかとなった。学年が上がるにつれ減少傾向にあり、高校生は2.2%だった。

 調査は2002年より10年ごとに実施。3回目となる今回は高校を新たに調査対象に加え、通常学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒の実態と支援の状況を明らかにし基礎資料とするために行われた。調査時期は2022年1月~2月。全国の公立小中高校の通常学級に在籍する児童生徒8万8,516人(小学校3万5,963人、中学校1万7,988人、高等学校3万4,565人)のうち、7万4,919人(学校数1,627校)の有効回答を得た。

 学級担任等が回答した内容から、「知的発達に遅れはないものの学習面または行動面で著しい困難を示す」とされた小・中学生の割合は、前回2012年の調査より2.3ポイント増の8.8%となった。一方、高校生は2.2%と、学校種・学年ごとに低くなる傾向がみられた。

 前回調査より増加したことについて、10年間で義務教育段階において通級指導を受ける児童生徒数が約2.5倍になっていること、教師や保護者の特別支援教育に関する理解が進み、今まで見過ごされてきた困難のある子供たちに気付きやすくなったこと等が考えられるという。

 学習面・行動面別でみると、行動面より「学習面で著しい困難」を示す割合のほうが高く、小中学生6.5%、高校生1.3%。学習面では、「読む・書く」「計算する・推論する」に比べると、「聞く・話す」に困難を示す割合のほうが少なく、行動面では「不注意」の割合が高い。また、男女別では、小中高校いずれも男子のほうが割合が多く、女子のおよそ2倍となっている。

 また、今回の調査で発達障害の可能性があるとされた小中学生のうち、通級で指導を受けている小中学生は10.6%、高校生は5.6%にとどまり、支援が行き届いていない現状がうかがえる結果となった。さらに、著しい困難を示す基準には達していないが、基準近くに分布している児童生徒も一定数あり、支援策の充実が求められる。

 調査の結果は、発達障害の割合を示すものではなく、特別な教育的支援を必要とする児童生徒数の割合を示すものであり、過去の調査とは一部質問項目等が異なるため、単純比較することはできないことに留意が必要。

 文部科学省は、特別な教育的支援を必要とする児童生徒に対する支援充実に向け、適切な学びの場の確保、個別の教育支援計画等の作成、福祉機関等の外部機関との連携体制等を考えていくことが重要だとしている。

《川端珠紀》

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