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発達障害や校則見直し…生徒指導提要12年ぶり改訂へ

 文部科学省は2022年8月26日、小中学校や高校教職員向けの生徒指導提要の改訂案を取りまとめた。12年ぶりとなる改訂版では、発達障害や性的マイノリティーの児童生徒に対する学校の対応、校則の運用・見直し等についても盛り込んでいる。

教育行政 文部科学省
生徒指導提要(改訂)の目次構成案
  • 生徒指導提要(改訂)の目次構成案

 文部科学省は2022年8月26日、小中学校や高校教職員向けの生徒指導提要の改訂案を取りまとめた。12年ぶりとなる改訂版では、発達障害や性的マイノリティーの児童生徒に対する学校の対応、校則の運用・見直し等についても盛り込んでいる。

 生徒指導提要とは、生徒指導の実践に際し、教員間や学校間で教職員の共通理解を図り、組織的・体系的な生徒指導の取組みを進めることができるよう、生徒指導に関する学校・教職員向けの基本書として、小学校段階から高校段階までの生徒指導の理論・考え方や実際の指導方法等について、時代の変化に即して網羅的にまとめたもの。現在の生徒指導提要は2010年3月作成。改訂は約12年ぶりとなる。

 第9回生徒指導提要の改訂に関する協力者会議が8月26日に開かれ、生徒指導提要の改訂案を取りまとめた。改訂版は、「生徒指導の基本的な進め方」と「個別の課題に関する児童生徒への対応」の2部で構成。第I部では、生徒指導について「社会の中で自分らしく生きることができる存在へと児童生徒が、自発的・主体的に成長や発達する過程を支える教育活動のこと」と定義し、生徒指導の方法や留意点、チーム学校による生徒指導体制等をまとめている。

 校則の運用については、「校則を守らせることにばかりこだわることなく、何のために設けた決まりであるのか、教職員がその背景や理由についても理解しつつ、児童生徒が自分事としてその意味を理解して自主的に校則を守るように指導していくことが重要」と記載。校則の内容を普段から学校内外で参照できるよう学校Webサイト等に公開しておくことや、制定の背景を示しておくことが適切との考えを示すとともに、制定から一定期間が経過し、意義を適切に説明できないような校則は、見直しを行うことも求めている。

 第II部は、「いじめ」「暴力行為」「少年非行」「児童虐待」「自殺」「中途退学」「不登校」「インターネット・携帯電話に関わる問題」「性に関する課題」「多様な背景を持つ児童生徒へ生徒指導」の10章を記載。発達障害や性的マイノリティーに関する理解と対応についても新たに追加。インターネットをめぐる課題への対応、GIGAスクール構想で整備された1人1台端末の扱い等も盛り込んでいる。


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