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校務支援システムのSaaS化4%、課題は山積み…MM総研

 校務支援システムを導入する自治体のうち、クラウドで利用するSaaS型はわずか4%と、教員の働き方改革実現に必要なICTツール選定の段階で課題が山積みしている状況であることが、MM総研が2022年9月29日に公表した調査より明らかとなった。

教材・サービス 校務
校務支援システムのSaaS化率
  • 校務支援システムのSaaS化率
  • 導入した校務支援システム名と利用自治体の分布
  • Google Workspace for Educationの利用率
  • 教員PCのリプレース計画が未詳の自治体の比率
  • 主要校務システムのSaaS化状況

 校務支援システムを導入する自治体のうち、クラウドで利用するSaaS型はわずか4%と、教員の働き方改革実現に必要なICTツール選定の段階で課題が山積みしている状況であることが、MM総研が2022年9月29日に公表した調査より明らかとなった。

 文部科学省は、2021年5月「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」を改訂し、校務支援システムのクラウド化を前提に進める方針を示した。クラウド化のメリットとしては、教員がロケーションフリーな働き方を実現でき、ワークライフバランスの改善が見込めることをあげている。2021年12月には校務情報化に関する専門家会合を立ち上げ、2022年8月に「GIGAスクール構想の下での校務の情報化に係る論点整理」中間まとめ(案)を公表した。現在、学校では校務支援システムをクラウド化することで、教員の働き方改革の実現を目指している。

 ICT市場調査コンサルティングのMM総研は2021年2月~2022年6月にかけ、公立小中学校および教育委員会を対象に、「GIGAスクール構想実現に向けたICT環境整備調査」「小中学校のGIGAスクール端末の利活用動向調査」「GIGAスクール構想実現に向けたICT環境整備調査」「国内クラウドサービス需要動向調査」を行い教員業務のDX動向を分析。9月29日調査結果を取りまとめ公表した。

 その結果、回答のあった1,306自治体のうち、校務支援システムを導入している自治体は全体の70%。内訳は、66%がオンプレミス型等のパッケージシステムを利用、クラウドで利用するSaaS(Software as a Service)型の校務支援システムを利用している自治体はわずか4%にとどまった。

 教員業務を処理する校務支援ソフトの種類と数を調査すると、回答のあった827自治体で、39種類の異なるソフトが利用されていた。県単位の共同システムという回答を含む上位8ソフトウェアが利用自治体の91%を占めるが、残り31ソフトは少数の自治体で利用。数自治体しか利用していない小規模なパッケージでは、ベンダーもクラウド化に踏み切るだけの投資をできない可能性も考えられる。

 一方、校務以外の領域ではSaaSの活用が始まっている。文部科学省は2022年2月「全国の学校における働き方改革事例集」公開。調査ではこの事例集で紹介されている39自治体を働き方改革先進自治体とし、その他の自治体と比較。その結果、先進自治体はその他自治体よりも、汎用クラウドサービスであるGoogle Workspace for Education(GWS)の利用率が1.4倍高かった。

 GWSは、GIGAスクール構想で生徒・児童にChromebookと同時に配備されたSaaS型のクラウドサービス。チャット、ウェブ会議、学校やクラス単位のコミュニティSNS、ドキュメントや表計算ソフトの共同編集機能を搭載し、学校運営に必要な情報共有を実現できる。そのため先進的な自治体では、従来の校務支援システムで提供されていた機能の一部をSaaSで代替する等、働き方改革に活用している。

 SaaSのもつ高いセキュリティを利用するには、SaaSに接続するための教員用PCを確保する必要がある。しかし、自治体のSaaS化への取組みを調査すると、約3割の自治体が教員用PCの予算を計画的に確保できておらず、原因として配備原資が自治体財源であることが考えられる。

 また、校務支援システムで提供されている主要機能のSaaS化も遅れている。県共同システムを除く現校務支援システム上位7社のソフトウェア提供形態を調べると、主要な機能をすべてSaaSとして提供するメーカーは1社に留まることが明らかになった。

 MM総研はSaaS型は「民間企業では数多く採用されているが、学校の校務では利用が進んでいない」と分析。取締役研究部長 中村成希氏は、「校務支援システムメーカーは、現在の規制にとらわれず、将来の教員の働き方に資するクラウド活用モデルを提示すべきだ。教育行政は、教員の働き方改革にクラウド技術を最大限に活かす前提に立てば、教員が活用を開始した汎用SaaSだけでなく従来の校務支援システムもSaaS型で提供しうる環境整備を進めるべきだ。」とコメントを寄せている。

《川端珠紀》

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