学校に行きづらいことについて「誰にも相談しなかった」という不登校の児童・生徒が、小学生36%、中学生42%にのぼることが2021年10月6日、文部科学省の実態調査から明らかになった。最初に30日以上欠席した時期が低学年であるほうが、「誰にも相談しなかった」という割合は高い傾向にあった。 2020年度不登校児童生徒の実態調査は、調査への協力が可能と回答のあった対象学校に通う小学6年生と中学2年生で前年度(2019年度)に不登校であった者のうち、2020年12月1日~28日の調査対象期間、学校に登校または教育支援センターに通所の実績がある児童生徒および保護者を対象に実施した。回収数は、小学6年生の児童713件、保護者754件、中学2年生の生徒1,303件、保護者1,374件。10月6日開催の第1回不登校に関する調査研究協力者会議で結果が公表された。 「最初に学校に行きづらいと感じ始めたきっかけ」は、小学生が「先生のこと(先生と合わなかった、先生が怖かった、体罰があった等)」29.7%、中学生が「身体の不調(学校に行こうとするとおなかが痛くなった等)」32.6%でもっとも多かった。「生活リズムの乱れ」「勉強がわからない」「友達のこと」等も多く、「きっかけが何か自分でもよくわからない」という回答も小学生で25.5%、中学生で22.9%あった。 「学校を休んでいる間の気持ち」では、「ほっとした・楽な気持ちだった」(小学生70%、中学生69%)、「自由な時間が増えてうれしかった」(小学生66%、中学生66%)が一定の割合を占めた。その一方、「勉強の遅れに対する不安があった」(小学生64%、中学生74%)、「進路・進学に対する不安があった」(小学生47%、中学生69%)、「学校の同級生がどう思っているか不安だった」(小学生64%、中学生72%)と、さまざまな不安感も抱えていた。 「学校を多く休んだことに対する感想」については、「もっと登校すればよかったと思っている」(小学生25%、中学生30%)がもっとも高かったが、「しかたがなかったと思う」(小学生17%、中学生15%)、「登校しなかったことは自分にとってよかったと思う」(小学生13%、中学生10%)等、とらえ方は児童生徒によって異なった。 保護者から回答を得た「欠席時の子供の状況」では、半数以上が「インターネットやゲームを一日中していた」「原因がはっきりしない腹痛、頭痛、発熱等があった」「極度に落ち込んだり悩んだりしていた」「家から出なかったり他人との関わりを避けたりしていた」と回答。保護者による「子供とのかかわり」では、約8~9割の保護者が「子供の気持ちを理解するよう努力した」「日常会話や外出等、子供との普段の接触を増やした」と回答したが、「子供の進路や将来について不安が大きかった」「子供にどのように対応していいのかわからなかった」との回答も多かった。 「学校に行きづらいことについて相談した相手」は、「家族」が小学生53.4%、中学生45.0%ともっと多かったが、「誰にも相談しなかった」が小学生35.9%、中学生41.7%で続いた。 児童生徒が最初に30日以上の欠席をした時期によって「低学年群」「中学年群」「高学年群」に分類し、「休みたいと感じ始めてから実際に休み始めるまでの期間に相談した相手」をみると、「誰にも相談しなかった」割合は「高学年群」(小学生37%、中学生46%)や「中学年群」(小学生34%、中学生38%)に比べ、「低学年群」(小学生38%、中学生49%)が高く、低学年の児童生徒への積極的な支援が必要であることがわかった。 「相談しやすい方法」は、「直接会って話す」(小学生49%、中学生46%)と「メールやSNS」(小学生29%、中学生42%)が高かったが、両方を重複して選択した割合は低く、状況に応じて相談方法を選択できる重要性も明らかになった。 「学校に戻りやすいと思う対応」「休みたいと感じ始めてから実際に休み始めるまでの間にどのようなことがあれば休まなかったと思うか」という質問に対しては、いずれも「特になし」との回答が圧倒的に多く、6割近くを占めた。保護者の回答によると、学校外の支援機関等の利用は4割以下にとどまった。