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大学等のデジタル化、課題は学生との関係構築や理解度把握

 McAfee Enterpriseは、「デジタルの日」(10月10日・11日)を前に2021年10月7日、「教育現場におけるデジタル化の意識調査」の結果を公表した。コロナ禍を機に教育現場にデジタル化が急速に進む一方、6割超の教職員が学生との関係構築や理解度把握に課題を感じていた。

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勤務先の教育機関について、デジタル化されている項目
  • 勤務先の教育機関について、デジタル化されている項目
  • デジタル化のメリット
  • デジタル化(オンライン授業含む)の課題
  • デジタル化(オンライン授業含む)のリスク
  • 重要なデータ(成績情報、生徒の個人情報等)はどこに格納されているか
  • デジタル化の推進において、勤務先の教育機関ではサイバーセキュリティのガイドラインまたはルールが周知徹底されているか
  • サイバーセキュリティ対策の取組み
  • デジタル環境を安心して使用することができているか
 McAfee Enterpriseは、デジタル庁が創設した「デジタルの日」(10月10日・11日)を前に2021年10月7日、「教育現場におけるデジタル化の意識調査」の結果を公表した。コロナ禍を機に教育現場にデジタル化が急速に進む一方、6割超の教職員が学生との関係構築や理解度把握が難しいことに課題を感じていた。

 「教育現場におけるデジタル化の意識調査」は2021年9月22日~24日、日本国内に在住する短大・大学・大学院等の教育機関教職員504人を対象にインターネットで実施した。

 コロナ禍以前にデジタル化しているものとしてもっとも多かったのは「課題・申請等の提出方法のオンライン化」43.5%。「ひとつもない」と回答した人も29.0%いた。一方、コロナ禍以降に「ひとつもない」と回答した人はわずか5.6%。「課題・申請等の提出方法のオンライン化」は65.9%に増え、「オンライン授業/ゼミの実施」と「オンライン会議の実施」は30%代から80%代に急上昇した。

 デジタル化のメリットは、「在宅勤務による移動時間の減少」50.4%、「録画した授業を欠席した学生や復習用に活用可能」50.4%が同率でもっとも多く、教職員自身の時間の使い方の変化や授業の効率化に関する回答に集中した。一方、「オンライン授業によって出席率が上昇」は23.8%にとどまり、オンライン授業導入にともなう対学生のメリットは感じられていない傾向がみられた。

 デジタル化の課題は、「学生との関係が構築しづらい」67.9%が最多。この他、「非対面のため学生が理解しているか把握が難しい」66.7%、「実技や実習、研究等がともなう教科、学科はデジタル化が困難」65.5%、「(自身も含め)教師のITリテラシーがデジタル化に追い付いていない」54.2%という回答が上位に並んだ。

 デジタル化のリスクについては、「学生本人以外の授業出席や、試験の代理受験(なりすまし等)」が65.3%ともっとも多く、「個人情報や機密情報の漏洩」57.1%、「デバイスのウイルス感染の被害」42.9%と続いた。

 成績情報や生徒の個人情報等、重要なデータの保管場所は、「校内に設置されているサーバ」43.3%が最多。「自身のパソコンのみ」(37.7%)の他、「Box」「Dropbox」といったオンラインストレージサービス、「外付けハードディスク」との回答もあわせて約2割あり、情報漏洩に関する危機意識の向上やセキュリティ対策強化の必要性がうかがえる結果となった。

 デジタル化の推進において、勤務先の教育機関でサイバーセキュリティのガイドラインまたはルールが周知徹底されているかについては、49.6%が「周知徹底されている」と回答。設置者別では、「周知徹底されている」と回答した割合は私立で6割に満たない一方、国公立では6割を超えていた。

 サイバーセキュリティ対策の取組みでは、約9割が勤務先の教育機関では何らかのサイバーセキュリティ対策が講じられていると回答。対策の内容は「アンチウイルスソフトウェアまたはセキュリティソフトウェアの導入」69.0%がもっとも多く、「情報セキュリティ教育の実施」52.9%、「怪しいメールに対する警告やブロック機能」40.4%と続いた。

 サイバーセキュリティ対策が講じられ、認知されている一方で、「デジタル環境を安心して使用できている」と回答した人はわずか13.0%。「サイバーセキュリティのガイドラインまたはルールが周知徹底されている」と回答した人に限っても約25%にとどまった。

 McAfee Enterpriseでは、調査結果から「コロナ禍を機にオンラインでの授業やゼミの導入等デジタル化が進んだ一方で、学生との関係構築や理解度の把握が難しいことや、教職員自身のITリテラシーの低さに課題を感じている実態が明らかになった。また、多くの教育機関でサイバーセキュリティのガイドラインまたはルールが周知徹底され、情報セキュリティ教育の実施等、サイバーセキュリティ対策が講じられている一方、安心してデジタル環境を利用している人はごくわずかであることもわかった」と分析している。
《奥山直美》

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