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【EDIX2021】先生の働き方改革と学習者中心を重視するEdTech企業の伸長が続く

 GIGAスクール構想とともに、多くのEdTech企業がさまざまなサービスを開発・提供する中、学習者中心にサービスを考え、教える立場の負担や不安を解消する教育サービスがさらに利用ユーザー数を伸ばしている。EDIX2021で注目されるEdTech企業を紹介する。

教材・サービス 授業
「すららネット」の湯野川孝彦社長
  • 「すららネット」の湯野川孝彦社長
  • 「Libry」は紙の教科書とデジタル教材の併用も可能
  • タブレットで表示される「Libry」
  • 中学・高校でのプログラミング授業を支える(ライフイズテック)
  • プログラミングの授業を不安と答えた先生の80%の不安が解消(ライフイズテック)
  • 公立中学の定期テスト対策アプリ(メイツ)
  • KDDIとのパートナーシップに注目(メイツ)
  • デジタルドリル中学版(学書)
 GIGAスクール構想とともに、多くのEdTech企業がさまざまなサービスを開発・提供する中、学習者中心にサービスを考え、教える立場である学校の先生や塾の講師の負担や不安を解消する教育サービスがさらに利用者数を伸ばしている。EDIX2021で注目されるEdTech企業を紹介する。

働き方改革と個別最適化の学びで学校現場を支援する「すららネット」



 小学生から高校生までの国語・数学(算数)・理科・社会・英語の5教科を学習できるAI教材を開発・運営する「すららネット」。代表取締役の湯野川孝彦氏は「おかげさまで導入数は37万ユーザーにまで増えています。この伸びはおもに公立の中学校での導入によって支えられています」と話した。「すららネット」が支持されるのは、創業当初からひとりひとりに合った学びと真の学力向上、学びの楽しさを追求し、新しいテクノロジーを取り入れながら進化させてきたこと、そして特に先生の働き方改革にも貢献できていることが要因だ。知識の習得ではICTを活用し、アナログによる課題などの採点・集計などの先生の負荷を軽減する。他校から事例を聞いてEDIXで相談に来ている教育委員会や学校の関係者も多いとのことで、ブースがにぎわうようすもうかがえた。

「すららネット」の湯野川孝彦社長
「すららネット」の湯野川孝彦社長

1日あたりの残業時間を2時間削減する「Libry」



 全国1,000校以上の高校に導入実績があるデジタル教材の「Libry」は、学校採用の教科書や問題集をデジタル化し、学習プラットフォームへと進化させてきた。対応書籍は260冊以上と信頼ある出版社と提携し、教科書をベースとした安心感が支持される理由となっている。「Libry」が重視するひとつは先生の働き方改革。先生用のツール「Libry for Teacher」を活用して、宿題の配信・回収・分析・フィードバックを効率化すれば、1日あたりの残業時間がおよそ2時間削減されるという。2022年春には思考力・判断力・表現力を育むためのオリジナル課題の配信、ルーブリック評価による定量評価の支援といった新機能のリリースや、デジタル教科書の提供も予定され、さらに先生方への支援が強化される。

タブレットで表示される「Libry」
タブレットで表示される「Libry」

プログラミング教材で先生を支える「ライフイズテック」



 新学習指導要領により今年から来年にかけて中学の技術科と高校の情報科が変わり、学校でのプログラミング教育が本格化する。サービス開始後1年で全国1,000校以上の授業でおよそ15万人の生徒が利用した「ライフイズテック レッスン」。中学校ではパン屋の認知を高めるといったストーリーに出てくる問題を解決しながらプログラミングが学習できる。ネットワークにおける双方向性の意味を理解し、Webサイトを作る過程で検索機能に発展するなど、小学校のビジュアルプログラミングからテキストコーディングへの橋渡し的な役割ももっている。そして、高校の情報Iの教材では、WebデザインからPythonによるブログ機能、画像認識AIを組み合わせた自動会計レジへとレベルアップ。新学習指導要領に対応したカリキュラムや教員支援によって、先生の苦手意識も払拭するなど高い評価を得ている。手探りになりがちな学校でのプログラミング教育においては心強い存在だ。

中学・高校でのプログラミング授業を支える(ライフイズテック)
中学・高校でのプログラミング授業を支える(ライフイズテック)

プログラミングの授業を不安と答えた先生の80%の不安が解消(ライフイズテック)
プログラミングの授業を不安と答えた先生の80%の不安が解消(ライフイズテック)

「メイツ」の学習塾向け定期テスト対策アプリと家庭学習支援サービス



 コロナ禍で一気にICT化が進んだ学習塾業界。「メイツ」は、退塾理由に着目し「定期テスト対策アプリ」を開発した。公立中学定期テスト5教科の点数が上がらないという学習塾の課題を、AIが苦手を分析し、ひとりひとりに最適な問題を自動で出題、解説動画から演習までアプリによって完結する。自塾での実証ではわずか2か月で苦手な数学が20点UPしたとのことで、退塾者の7割防止に結び付けた。

公立中学の定期テスト対策アプリ(メイツ)
公立中学の定期テスト対策アプリ(メイツ)

 なお同社は、2020年4月13日にKDDIとパートナーシップを結び、学習塾や中学・高校などの教育機関を対象とした家庭学習支援サービス「edich」を開始。家庭学習をコーチがオンラインでサポートする全国的なサービスに注目が集まっている。

KDDIとのパートナーシップに注目(メイツ)
KDDIとのパートナーシップに注目(メイツ)

アウトプットを重視した「学書」のデジタルドリル



 学習塾の講師の声を大切にしながら教材を作ってきた「学書」が、中学1年生から3年生までの英語・数学・理科・社会の単元を、繰り返し徹底して学習できるオンライン教材をリリースした。問題が表示され、解答を⾃分でノートに書いて学習内容を定着させる仕組みで答えを確認しながら⾃⼰採点していく。デジタル教材や動画教材の多くで見受けられる「わかった気になる」欠点を防止するために、⾃分で解答を書くことを重視。さまざまな形式の問題にチャレンジすることで、苦⼿な単元を集中して徹底的にトレーニングすることができる。

デジタルドリル中学版(学書)
デジタルドリル中学版(学書)

 AIによってひとりひとりに最適な学びを提供するサービスがEdTechとして躍進しているが、こうしたICTの活用が進むと、先生や講師が本当の意味で学習者を支援する役割に徹することができるように感じる。その先にあるのは、自分で問いを立てて解決に向かう自律的な学習者へのステップか。テクノロジーと人の融合が、どのように子どもたちの学びを豊かにするのか。今後のEdTechの動向に注目したい。
《佐久間武》

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