文部科学省は2021年4月28日、学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル「学校の新しい生活様式」を改訂した。変異株の罹患率や対策を新たに盛り込み、消毒作業の合理化、地域の感染レベルに応じた活動場面ごとの感染症対策等を追記している。 「学校の新しい生活様式」は、「新型コロナウイルス感染症に対応した持続的な学校運営のためのガイドライン」の考え方に基づき、学校の衛生管理に関する具体的な事項について、学校の参考となるよう作成したマニュアル。新たな情報や知見が得られた場合には見直すこととしており、今回は4月15日時点での最新の知見に基づき、一部の内容を見直した。 改訂版のマニュアルでは、児童生徒や教職員等の感染状況について、4月15日までに文部科学省に報告のあったデータや厚生労働省等が公表した情報をもとに分析し、結果を更新している。学校が本格的に再開し始めた2020年6月1日から2021年4月15日までの感染報告は、児童生徒1万7,570人、教職員2,382人、幼稚園関係者962人。 感染経路は、小学生の78%、中学生の64%を「家庭内感染」が占めている一方、高校生は「感染経路不明」が33%と、他の学校種と比較して高い割合。教職員も従来と同様、「感染経路不明」が55%と最多。また、5人以上の複数感染者の発生率は高校で高く、10人以上の感染は高校の部活動が関係した事例が多い状況は従来と同様であった。 増加傾向にある変異株の罹患率や対策についても、最新の知見を踏まえて追記。英国の専門家会議の見解を引用して「子供が大人よりも感染しやすいということはなく、どの年齢であっても感染しやすい可能性がある」と説明。厚生労働省に置かれた専門家のアドバイザリーボードでは「現時点では、15歳未満で明らかな感染拡大の傾向は見られない」と評価・分析されているとしたうえで、「子供への罹患率が低いとされていた従来株と比較すると、変異株の子供への感染力は強い可能性がある」とし、従来株と同様に「3密の回避」「マスク着用」「手洗い」等の基本的な感染症対策を推奨している。 このほか、大勢がよく手を触れる個所の1日1回の清掃・消毒については、教員の負担軽減の観点から、児童生徒等の手洗いが適切に行われている場合は省略できる旨を追記。児童生徒等の心のケア、教職員のメンタルヘルス対策、やむを得ず学校に登校できない児童生徒に対するICT活用等による学習指導などについても追記している。 緊急事態宣言対象区域における部活動等、地域の感染レベルに応じた活動場面ごとの感染症対策も追記。地域一斉の臨時休業については、「児童生徒の学びの保障や心身への影響、学齢期の子供がいる医療従事者等の負担等の観点を考慮し、慎重に検討する必要がある」と明記した。