東京で3度目の緊急事態宣言が発令され、流行拡大の大きな要因の1つとなっている新型コロナウイルス変異株。子供への感染力が高いと言われているが、15歳未満の子供については従来のものと比較して広がりやすい訳ではないと、感染症の専門家が文部科学省が実施したインタビューで答えた。文部科学省はインタビュー動画をWebサイトで公開している。 文部科学省は2021年4月27日、児童生徒の新型コロナウイルスへの感染状況等について感染症の専門家へインタビューした動画「子供たちの感染状況と学校の感染症対策」をWebサイトに公開した。インタビューに答えたのは、公衆衛生が専門の国際医療福祉大学医学部・和田耕治教授。 動画では、日本で主流となりつつある英国株と呼ばれる変異株が子供たちにこれまで以上に悪影響があるのではと不安が広がっていることを受け、現時点でわかっていることを正確に伝えることを目的としている。 児童生徒の感染状況については、変異株に感染した子供の事例が増えているものの、厚生労働省の専門家会合で示された国内データから、現段階では15歳未満の小中学生について変異株の感染が従来のものと比べてより広がりやすいということは明らかではないとした。重症化からも従来同様に守られており、あくまでも感染拡大の主体は成人、特に20歳代が多いという状況を明確にした。 学校における感染対策や変異株で気を付けるべき点については、変異株だからということよりも普段からの対策がしっかりできているかが重要だという。生活している地域に感染拡大の状況が見られた場合は、密になる行事や歌を歌うといった感染拡大のリスクがある行動を減らす、延期を検討する必要があるとしている。 授業等、日々の教育活動においては、体調・症状の確認を日々行い、喉の痛みや咳、発熱、下痢等、軽微な体調不良の場合でも必ず休むようにし、休んだ児童生徒に対して「コロナじゃないの」といった差別的な発言がないよう配慮することを求めた。また、これから暑さが増す中でも、できる限りマスクを着用することが重要だとした。 2020年は状況がわからない中で子供たちを守るための一斉休校が行われたが、1年間のデータから、専門家の間でも地域で一斉休校が必要だという考えには至っていないという。感染拡大を防ぐためには、まずは大人が感染対策として接触機会を減らすことが何よりも重要だとしている。 動画は文部科学省Webサイト内「幼小中高・特別支援学校に関する情報」ページに掲載されており、YouTubeの文部科学省公式チャンネルで見ることができる。