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オンライン試験の有用性確認、2021年度サービス提供へ…富士通

 富士通は2021年3月22日、受験者と試験提供者双方にとって安心かつ公平、効果的なオンライン試験の実現に向けて、AIによる不審行動検知などを支援するシステムの実証研究を実施し、有用性を確認したと発表した。教育機関などに向けて開発を進め、2021年度より提供予定。

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自動不正検知システムの結果レポートのイメージ画面
  • 自動不正検知システムの結果レポートのイメージ画面
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 富士通は2021年3月22日、受験者と試験提供者双方にとって安心かつ公平、効果的なオンライン試験の実現に向けて、AIによる不審行動検知や試験問題作成を支援するシステムの実証研究を実施し、有用性を確認したと発表した。教育機関などに向けた新たなエドテックサービスとして開発を進め、2021年度より提供予定。

 新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、教室や会場に集合して実施する資格試験や検定試験の延期や中止が相次ぎ、自宅などで受験できるオンライン試験への注目が急速に高まっている。しかし、オンライン試験では、本人確認の難しさから発生する替え玉受験やカンニングをはじめとする試験中の不正行為などの防止、受験者が不正を疑われた際の証明方法の確立など、さまざまな課題がある。

 富士通では、課題をいち早く解決し、試験問題の作成や試験結果の分析が柔軟かつ効率的に行えるオンライン試験の仕組みを提供するため、2021年2月5日から3月5日にかけて、慶應義塾大学医学部医学教育統轄センターの協力のもと、実証研究を実施。 オンライン試験を先行する欧米で多くの実績があるオンライン自動試験監督システムの有用性を検証した。

 実証研究では、オンライン試験作成・配信システム「Questionmark OnDemand」を用いて、オンライン試験問題を作成のうえ、仮試験当日に試験を配信。あわせて、Proctorio社のオンライン自動試験監督システム「Automated Proctoring Solution」により、替え玉受験防止のため、試験開始前にオンライン画面上で身分証と受験者本人の写真を撮影した後、Webカメラで試験中の受験者を記録。顔検出などのAIを使って、受験者が試験画面以外の方向を向くことや音声を発すること、スマートフォンなどの使用や受験者以外の人物の顔が映ることなど、カンニング行為として疑われる可能性が高い不審行為を自動検知した。

 検知結果は、受験者1人ずつレポート形式にまとめられ、不審行為があった時間帯は不正の疑惑レベルに応じて赤色や黄色でアラート表示。試験管理者が試験後、アラート表示部分の画像や音声、PCデスクトップ画面の記録を確認し、受験者の動作が不正行為に該当するものかどうかを判断できるようになっている。

 実証研究では、対象者全員が自宅などからアクセスして受験し、混乱なく解答を完了。被験者の学生が試験中にとった横や下などの方向を見る、画面から消えるなどの不審な行動すべてを顔検出などのAIを使って自動検知でき、正常な行動と判別できたことなどから、両システムの有用性を確認した。

 試験終了後は、自動採点によりすぐに採点結果を集計。教員の採点では一般的に約20分を要する採点時間(10問×10秒×11名)を数分に短縮でき、採点業務を効率化できることも確認。試験中のようすを記録される受験者の不安を軽減し、システムの理解促進につなげるため、事前に自動不正検知結果の活用方法の説明を十分に行い、不審行為を疑われる動作の例を明確に示す必要性があることも確認したという。

 富士通は、今回の実証研究を踏まえ、オンライン上で効果的かつ安心して受験できる試験環境の実現に向けて新たなエドテックサービスの開発を進め、大学や専門学校などの教育機関、企業や事業者に向けて2021年度からの提供を予定している。今後、エドテックサービスの提供を通じて、教育分野のDXを推進し、学校や教育機関、企業におけるニューノーマル時代の新たな学びに貢献していくとしている。
《奥山直美》

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