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教員制度改革の審議まとめ…高校で教職課程単位認定も

 文部科学省は2026年9月17日、教員養成・採用・研修に関する制度を抜本的に見直す「多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成を加速するための方策(審議まとめ)」を公表した。教員の質と量の確保に向け、免許制度や教職課程の再設計、多様な人材の参入促進などを進める。

教育行政 文部科学省
多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成を加速するための方策について(審議のまとめ)公表
  • 多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成を加速するための方策について(審議のまとめ)公表
  • 多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成を加速するための方策について(審議のまとめ) 概要・位置付け

 文部科学省は2026年9月17日、教員養成・採用・研修に関する制度を抜本的に見直す「多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成を加速するための方策(審議まとめ)」を公表した。教員の質と量の確保に向け、免許制度や教職課程の再設計、多様な人材の参入促進などを進める。

 今回の審議まとめでは、教員の「質」と「量」を持続的に確保するため、教員養成・採用・研修を一体的に捉え、制度を再設計する方向性を示した。教職課程の質保証や免許取得の選択肢拡大、多様な専門性をもつ社会人等の参入促進など、5つの柱に沿って具体策を整理している。

 教職課程については、入職時点で求められる資質能力を再構造化・厳選するとともに、学ぶ内容を見直す。一般教養科目については、日本国憲法を教育法規、データ活用・AIを教育データ・AIとして教職課程に内在化する一方、「外国語コミュニケーション」と「体育」は教職課程に位置付けない方向を示した。

 小学校の基礎的な免許状では、全10教科の学修を必修化する。また、各教科の指導法と専門的事項を一体的に学修するなど、学習指導要領との連動を図る。特別支援教育は2単位に拡大し、デジタル学習基盤や生成AIの効果的な活用も教職課程に位置付ける。中学校で新設される「情報・技術科」に対応した免許制度についても検討する。

 教育実習については、手書き書類のテンプレートの全国標準化・電子化や、実習校1校あたりの受入学生数の平準化などにより、学生と学校双方の負担軽減を図る。国立教員養成大学等を地域のハブとし、大学間連携を進めることで、一大学完結型の教職課程からの転換も目指す。

 教員免許については、基礎的な学修に加えて、大学で身に付けた専門性を「強み専門性」として学ぶ仕組みを設ける。標準的な免許状の授与要件として、「強み専門性」に係る学修20単位程度を設定する方向を示した。

 さらに、免許状を「基礎的」「標準的」「上級」の3段階に再編する。「基礎的」は短期大学士、「標準的」は学士と「強み専門性」、「上級」は専修免許状を基本とする。基礎的免許状から標準的免許状への上進に必要な勤務年数は「5年以上」から「3年以上」に短縮し、中堅教諭等資質向上研修の時期に10単位を取得することで上進できる仕組みとする。

 専修免許状への上進についても、大学院修学休業の拡大や在職年数に応じた単位の逓減措置などにより、現職教員が学びやすい環境を整える。教職大学院では、共通5領域の修得単位数を現在の20単位程度から10単位程度に縮減する。

 免許取得の選択肢も広げる。教職特別課程や通信制、教員資格認定試験に加え、任用と連動した大学院の新たな教育課程として、履修証明プログラムなどを活用する仕組みを設ける。高等専門学校卒業者を免許取得の基礎資格とすることや、隣接免許・校種の取得を円滑にすることも検討する。

 多様な専門性や背景をもつ社会人等の参入促進では、特別免許状の授与を柔軟化する。国が授与基準や目安を示すとともに、専門性や能力を立証する方法を柔軟にすることで、社会人の特別免許状取得を促す。臨時免許状についても、一定のルールによって質を担保しながら位置付けを見直す。

 また、社会人が在職したまま学校で働ける「在籍型出向」の仕組みを創設するほか、博士人材など高度な専門性をもつ人材の参入を促進する。中途入職者の給与体系についても見直しを検討する。

 小学校では、算数や理科など特定教科を担当する「専科普通免許状」の新設を検討する。全教科を担う教員と、特定教科に専門性をもつ教員がチームで教育を行うことで、多様な専門性を生かす教職員集団の形成を目指す。

 教員を目指す人材の裾野を広げるため、高校生段階から教職への関心を高める取組みも進める。大学が高校生向けに提供する科目の単位認定や、地域教員希望枠の拡大、インターンシップなどを進める。また、養護教諭の教職課程では、心理・福祉に関する内容を全学生が学修することとし、「強み専門性」にも位置付ける。

 教職課程では、児童生徒性暴力防止に関する法規の体系的な学修を位置付けるなど、コンプライアンスや児童生徒の安全確保に向けた取組みも進める。教員免許の失効者管理システムと、日本版DBSに関する仕組みとの連携についても検討する。

 教員養成と採用・研修の接続も進める。教職課程のコアカリキュラムを見直し、CBT問題を作成して「Plant(全国教員研修プラットフォーム)」に搭載するとともに、2027年度から共同実施される教員採用試験の一次選考との連動を図る。大学と教育委員会が、それぞれ養成と採用・研修を担う従来の役割分担から、両者が一体となって教員の養成・採用・研修を行う体制への転換を目指す。

 このほか、多様な専門性をもつ教職員集団を生かすため、校長など管理職に求められるリーダーシップや組織マネジメント、心理的安全性の確保に関する資質向上を図る。国立大学附属学校については、地域のハブや実験校としての機能を踏まえた改革を進める。

 今後さらに検討する事項として、特別免許状の授与権限の指定都市への拡大、免許管理システムや事務の国への移管、全国的な教職の需給計画の必要性などをあげた。生成AI時代における教師や学校の役割についても、人間同士の触れあいを基盤としながら、将来を見据えて問い直すとしている。さらに、教師を目指す学生や社会人の経済的負担を軽減するため、学部段階で教師になった者を対象とした奨学金返還支援など、全国的な仕組みの構築・設計についても検討する。

《川端珠紀》

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