内田洋行は、府中市教育委員会において教職員約2,000人、児童・生徒約1万9,000人、小・中学校33校が利用する次世代校務DX基盤を構築した。2026年1月より教職員環境、4月より児童・生徒環境を含めた全面展開を開始している。ゼロトラスト型ネットワークや生成AIの活用により、先生の働き方変革を支援する。
府中市教育委員会では、GIGA第2期を見据え、教職員が安全かつ快適に業務を行える環境づくりを進めてきた。従来は校務系と学習系のネットワークが分離されており、用途に応じた端末の使い分けや、職員室に固定された校務用端末による運用負荷、情報漏えいリスクが課題となっていた。
こうした課題に対し、ネットワークとセキュリティをクラウド上で一体運用するSASE(Secure Access Service Edge)を中核としたゼロトラスト型ネットワークを採用した。通信経路を常時暗号化し、利用者や端末の状態を確認したうえでアクセスを許可する仕組みを導入している。SASE基盤には、Fortinet社の「FortiSASE」が採用された。
これにより、教職員は1台のノートPCで校務と学習の双方を安全に扱えるようになり、校内のどの場所でも職員室と同等のセキュリティ環境で業務が可能となった。教室で児童・生徒のようすを見ながら資料を修正し、放課後は自席以外で業務を継続できるなど、場所に縛られない働き方が実現している。端末やネットワーク機器は24時間365日体制で監視され、サイバー攻撃への備えも強化されている。
教職員と児童・生徒の利用環境に応じた多層セキュリティ基盤も構築した。教職員にはデバイス認証に加え、顔認証とPINコードを組み合わせた多要素認証を導入し、認証情報の盗難リスクを低減。児童・生徒には端末ごとの証明書認証を採用した。さらに、校務関連の特定データについては外部記録媒体への書き込みを制限し、メール送信時には警告表示や添付ファイルの自動共有リンク変換を行うなど、ヒューマンエラーを防ぐ対策を講じている。
また、教職員と児童・生徒が複数のクラウドサービスを円滑に利用できるよう、統合認証基盤を整備した。Microsoft 365 Education A5やGoogle Workspace for Educationなどのアカウント情報を統合し、1つのIDで各種サービスへアクセスできる。統合ID管理基盤にはHENNGE社の「HENNGE One」を採用。シングルサインオンによりログインの煩雑さを解消し、人事異動時の名簿連携などの管理負担も大幅に軽減された。
教職員用端末には、インテル vPro テクノロジーを搭載した約891gの軽量ノートPC(富士通 LIFEBOOK U9314X/S)を約2,000台導入した。OS起動前から不審な挙動を検知する仕組みを備え、教室や校外を移動する教職員の業務スタイルに適した多層防御を実現している。
今後は、東京都の補助金を活用し、デジタル教科書の利用状況を可視化するダッシュボードを開発・構築する予定だ。教科や学年単位での活用状況を分析し、将来的にエビデンスに基づく政策立案(EBPM)を支える基盤を目指す。また、全33校で生成AI「Microsoft 365 Copilot」の活用も開始。通知文作成や議事録要約など日常業務を支援するほか、Microsoft Copilot Studioを用いたAIエージェントの構築により、校内規定などの情報への迅速なアクセス環境を整備する。
内田洋行グループは、端末キッティングから運用保守、ICT支援員による伴走型支援までを一体的に担う。2026年に創業116年を迎えた同社は、2021年の埼玉県鴻巣市を皮切りに、東京都三鷹市や三重県全域など全国100を超える自治体へ展開している。今回の府中市での取組みは、文部科学省が推進する「次世代校務DX」に準拠したモデルケースとして位置付けられている。







