気象庁が予報用語として「酷暑日」を導入した2026年。すでに全国各地で40度近い猛暑が続く中、夏休み期間中も部活動や学校行事、地域活動などで児童生徒が屋外で活動する機会は少なくない。
熱中症対策というと、水分補給や帽子の着用などが思い浮かぶが、学校現場で重要なのは「暑いと感じるかどうか」ではなく、暑さ指数(WBGT)や熱中症警戒アラートに基づいて活動の可否を判断することだ。
環境省は2026年10月21日まで、暑さ指数(WBGT)および熱中症警戒アラート等の情報提供を実施している。夏休みに入り、屋外活動が増える今こそ、改めて確認しておきたい。
環境省「熱中症予防情報サイト」
「気温」ではなく「暑さ指数」で判断する
熱中症対策で注意したいのが、気温だけでは危険度を判断できない点だ。
暑さ指数(WBGT)は、気温に加え、湿度や日射・輻射熱などを総合的に評価する指標である。同じ気温でも湿度が高い日や、日差しが強い日は熱中症リスクが高くなるため、学校の活動判断ではWBGTの活用が求められている。
文部科学省の「学校における熱中症対策ガイドライン作成の手引き」では、WBGT31以上を「運動は原則中止」としている。

暑さ指数のおもな行動目安
21以上25未満(強い生活活動でおこる危険性):【注意/積極的に水分補給】
一般に危険性は少ないが、激しい運動や重労働時には発生する危険性がある。運動の合間に積極的に、水分・塩分補給は必要。
25以上28未満(中等度以上の生活活動でおこる危険性):【警戒/積極的に休憩】
運動や激しい作業をする際は定期的に十分に休息を取り入れる。積極的に休憩をとり、適宜、水分・塩分を補給する。激しい運動では、30分おきくらいに休憩をとる必要がある。
28以上31未満(すべての生活活動で起こる危険性):【厳重警戒/激しい運動は中止】
熱中症の危険性が高いので、激しい運動や持久走など体温が上昇しやすい運動は避ける。10~20分おきに休憩をとり水分・塩分の補給を行う。暑さに弱い人(体力の低い人、肥満の人や暑さに慣れていない人など)は運動を軽減または中止。
31以上(すべての生活活動で起こる危険性):【運動は原則中止】
特別の場合以外は運動を中止する。特に子供の場合には注意すべき。
気温だけを見ると屋外で活動できそうな日でも、湿度が高ければWBGTが危険な水準となる場合がある。熱中症による事故を防ぐためには、毎日の確認が欠かせない。
熱中症警戒アラートが出たらどうするか
熱中症警戒アラートは、熱中症の危険性が極めて高くなると予測される場合、前日または当日に発表される。暑さ指数をもとに算出されており、さらに、その一段上として位置付けられるのが、都道府県内のすべての観測地点でWBGTが35以上になると予測される場合に発表される熱中症特別警戒アラートである。熱中症特別警戒アラート発表時には、行事やイベント、屋外活動の中止や延期を含めた、より強い対応を求められている。
学校現場では、アラート発表を「注意喚起」として受け取るだけでなく、活動内容そのものを見直すきっかけとしたい。
たとえば、
・屋外での活動時間を短縮する
・体育館や校舎内などへの場所変更を検討する
・休憩回数を増やす
・活動強度を下げる
・必要に応じて活動を中止する
といった判断が求められる。
特に大会前の部活動や合宿、地域行事への参加などでは、「予定どおり実施すること」が目的になりがちだ。しかし、暑さ指数や警戒アラートは、活動を安全に実施できるかを判断するための重要な情報である。
夏休み中は学校管理下外の活動にも注意
夏休みは、学校主催の活動だけでなく、クラブチームや地域のスポーツ活動、ボランティア活動など、さまざまな場面で児童生徒が屋外に出る機会が増える。
また、登下校がないため生活リズムが変化し、睡眠不足や朝食欠食などによって熱中症リスクが高まるケースもある。
活動を実施する際には、
・活動前日の予測値確認
・活動当日の実況値確認
・児童生徒の体調把握
・十分な水分・塩分補給の指導
・緊急時の対応体制確認
を改めて徹底したい。
「例年どおり」が通用しない夏
近年は記録的な高温が相次ぎ、「以前はできていたから大丈夫」という考え方が通用しなくなっている。
熱中症事故は、特別な環境だけで起こるものではない。部活動の練習中や学校行事、移動中など、日常的な活動の中でも発生する可能性がある。
暑さ指数や熱中症警戒アラートは、教育活動を制限するための情報ではなく、子供たちの命と安全を守りながら学びの機会を確保するための判断材料だ。夏休み期間中だからこそ、学校や指導者は改めて確認し、活動計画や運営方法を見直したい。
注:暑さ指数(WBGT)は、環境省の表記に従い、本記事では単位「℃」を省略して記載している。画像中の「℃」表記は文部科学省資料によるもの。








