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大学入試の多様化に手応えも年内入試のあり方検討…文科相12/9会見

 松本洋平文部科学大臣は2025年12月9日の会見で、青森県東方沖を震源とする地震への対応状況を報告するとともに、基礎研究の支援方策や大学入試改革、先端研究分野の推進などについて見解を示した。

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松本洋平文部科学大臣会見(令和7年12月9日)
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 松本洋平文部科学大臣は2025年12月9日の会見で、青森県東方沖を震源とする地震への対応状況を報告するとともに、基礎研究の支援方策や大学入試改革、先端研究分野の推進などについて見解を示した。大学入試に関しては、総合型選抜などの多様な入学者選抜が、主体的な人材育成に繋がっているとの見解を示した一方、年内入試での学力試験の扱いについて慎重な姿勢を示した。

 冒頭、大臣は、青森県八戸市で震度6強を観測した、青森県東方沖を震源とする地震の被害状況について説明した。学校管理下における児童生徒等の人的被害の報告はない一方、学校施設の窓ガラスの破損など7件の物的被害が確認されているという。12月9日は青森県内の公立小中学校・高校あわせて139校の休校が報告されており、文部科学省として災害情報連絡室の設置や関係教育委員会への情報収集依頼、日ごろからの地震への備えの再確認などを通じて、児童生徒の安全確保に全力で取り組む姿勢を強調した。

 研究分野では、ノーベル賞受賞が決まった坂口志文氏、北川進氏が揃って「息の長い基礎研究を支える重要性」に言及したことを受け、松本大臣も長期的視点に立った支援の必要性を改めて認識したと強調した。文部科学省では、研究者の自由な発想に基づく研究への支援や、国立大学運営費交付金などの基盤的経費、競争的研究費の確保を通じて基礎研究を推進してきたと説明したうえで、次期科学技術・イノベーション基本計画の策定に向けて、新たな研究領域への挑戦支援や研究に専念できる環境整備を一層進める考えを示した。あわせて、インフルエンザ治療薬や血液型とも関わる「糖鎖研究」など、日本が強みを持つ先端分野研究を推進していけるよう、具体的な推進策を検討していくとした。

 大学入試に関しては、総合型選抜や学校推薦型選抜など多様な入学者選抜が、学生の能力・意欲・適性を多面的・総合的に評価するうえで重要であるとの認識を示した。学力だけでなく、自分にとって「必然性のある学び」を選び主体的に学ぶことが、その後の研究活動や社会での活躍につながっているとし、大きく変容する社会を切り開くうえでも意義があるとした。また、補正予算案に追加計上された「成長分野転換基金」約200億円により、大都市圏の大規模大学の人文・社会科学系学部における教員配置の改善や、数理・デジタル分野の充実を図り、大学教育の質的転換を後押しする考えも示した。

 一方で、2026年度から年内に行われる総合型選抜や学校推薦型選抜などでも学力試験が解禁されることを受け、今年度も年内入試で学力試験の結果が重視される恐れがあるのではないか、との指摘があると説明。高校教育への影響が大きくなるとの懸念もあることから、今年度入試の状況を検証し、次年度以降現場の混乱を招かないよう、大学入学者選抜要綱の改定に向けて高校・大学と慎重に議論を進めるとした。

《畑山望》

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