文部科学省のあべ大臣は2025年9月26日に記者会見を行い、名古屋大学教育学部附属中・高等学校および三菱重工飛島(とびしま)工場を視察した内容などについて発表した。教育現場でのデジタル教科書の導入や教職員の業務量管理の見直しにも言及した。
あべ大臣は名古屋大学教育学部附属中・高等学校で授業や生徒の研究成果を視察し、関係者との意見交換を通じて、附属学校における教育の取組みを理解する機会となったと述べた。また、三菱重工飛島工場ではH3ロケットや国際宇宙ステーションに物資を補給する新型宇宙ステーション補給機HTV-Xの製造過程を視察し、日本の宇宙活動に対する理解を深めた。
一方、教職員の働き方改革に関しては、6月に成立した給特法の一部改正を受けて指針を改定し、全国の都道府県・政令市の教育委員会へ通知を出すことを報告。学校教師が担う業務を見直し、業務効率化やストレスチェックの推進など新たな施策を通じて教職員の健康確保を図る方針を明らかにした。2026年度の概算要求にも教員業務支援などの支援スタッフの配置充実に関わる予算を要求中とし、働き方改革の推進に向け、「教育委員会や学校、自治体の首長、地域や保護者と力をあわせて取組みを進めたい」と語った。
デジタル教科書の導入に際しては、自分たちで図を動かしたり実験動画を活用したりする新たな教科書の形態が児童生徒にとって理解しやすい学習を提供する可能性を述べた。デジタルと紙の教科書の利点を生かして授業を設計し、学習を明確にする取組みを進める。導入時期については、次期学習指導要領の実施にあわせる予定とした。
さらに、情報活用能力の向上に関する議論も進行中で、9月25日には、中央教育審議会教育課程部会が「情報活用能力の抜本的向上を支える指導体制改善プラン」を公表した。文部科学省は、この内容を支える指導体制を整える方針を固めており、外部専門人材の活用や研修動画の開発が進む見込みである。
石垣市議会では、9月24日に子供たちが「君が代」を歌えるかを問うアンケートを実施する決議を教育長に求め、賛成多数で可決した。この決定が子供への強制につながる恐れや教育に対する政治的介入に対する批判が出ていることに対し、記者から見解を尋ねられたが、あべ大臣は詳細を把握していないとしてコメントを控えた。ただし、学校での国歌指導については、児童生徒の内心にまで立ち入って強制するものではないことを強調した。