東京都教育委員会は2025年6月26日、都立高校における改革「次世代の学びの基盤プロジェクト」についてWebサイトに掲載した。都立高校を「新しい学びの場」へと進化させることを目指した取組みで、社会の急速な変化や生徒の多様化に対応し、ひとりひとりの興味関心や適性にあわせた教育の実現を図る。
国際情勢や人口減少・少子高齢化などにより社会経済の不確実性が増大し、デジタル技術の爆速的な進化で子供たちを取り巻く環境もめまぐるしく変わっている。東京都は、このような予測困難な時代の中で、社会の変化に柔軟に対応し、これからの時代を生き抜く力を身に付けた人材の育成が教育の役割と捉え、高等学校における学びのあり方を変える「次世代の学びの基盤プロジェクト」を、2025年度より始動。すべての学校でひとりひとりの生徒の興味関心や適性に対応する「新たな教育のスタイル」を確立するべく、改革に取り組んでいる。
プロジェクトの柱となるのは、DX、制度、教員・組織の3つ。デジタルとリアルの最適な組み合わせによる「DX」、学習内容や方法、単位の認定などの柔軟な運用による「制度」、教員の役割や組織のあり方の改善を目指す「教員・組織」の三位一体の改革を進めることで、生涯にわたり持続的に学び続ける力、自分で選択し決定する力を身に付けた「自立した学習者」の育成を目指す。
都立高校への展開としては、デジタル技術を活用して教室以外でもいつでもどこでも学べる環境や、実社会を学べる専門家とのつながり、得意分野など学校内外での頑張りを評価する学習成果・評価制度、自分にあった学び方を自分でデザインするといった方向性が示されている。
2025年度は、まずはシステム構築を目指し、都立高校のモデル校からさまざまな取組みを試行。おもに、「新分野のデジタル教材開発」「デジタル教科書の導入・活用」「学びの成果の可視化 LMS」「新たな教育のスタイルの研究指定校」の4つの取組みをモデル校において進め、段階的に都立高校を「新しい学びの場」へと進化させることを目指す。
東京都教育委員会のWebサイトには、プロジェクトの詳細や、都民に向けた解説資料も掲載。生徒や保護者、都民に同プロジェクトの正確な理解を広げるための取組みも同時に進めている。未来の東京に生きる子供たちのため、従来の教育を抜本的に見直し、不断の改革を行うとの決意を示している。