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【相談対応Q&A】新しいクラスになじめない

 クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第225回のテーマは「新しいクラスになじめない」。

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 学校に寄せられるさまざまな相談やクレーム。保護者や地域からの相談に先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第225回のテーマは「新しいクラスになじめない」。

人間関係に新型コロナが影響

 新しい年度が始まって2週間が経ちました。新しい環境に慣れてきている子供もいれば、なじめずに困っている子供もいるでしょう。新しい集団になじむ(慣れる)ことに関して、今の子供は新型コロナウイルスの影響を受けていると私は考えています。

 コロナの影響は「病気になる・ならない」という直接的なものだけではありません。コロナによって変化が生じた生活習慣などによる間接的な影響もたくさんあります。GIGA端末などの活用が増えてきたことで、子供の身体面に影響が出ています。視力の低下や肩こり・腰痛などの増加です。GIGA端末だけの影響ではありませんが、コロナを経て変わった生活の中で子供の身体に影響が出ていることは確かでしょう。

 そういったものの1つで私が気になっているものが「コミュニケーション」に関するものです。本来、子供はさまざまな場面で、さまざまな人と関わる中で、他の人と関わる術を身に付けていました。ところが、2020年から2021年ごろはコロナの影響で「三密を避ける」ことなどが推奨されていました。一時期は子供が友達と一緒に遊ぶこともできないような状況でした。人との関わりができない時期が長く続いていました。給食も机を班の形にすることなく、黙って食べていました。

 また、マスク着用も推奨されていました。マスクによって他の人(先生や友達)の表情が見えにくい中で子供たちは暮らしていました。人との関わりは言葉だけでなく、表情なども含めた多様なものの中で行われています。特に顔の表情からは多くの情報を獲得するとされています。今の子供たちは、育ちの中でそういったものの経験が足りていない子供もいると捉えることができます。そういった環境で育った子供たちは、新しい集団の中で上手に他の人と関わることができない場合もあります。

子供や親からのサインを見逃さない

 学校(教師)としては、子供や親からのサインに敏感になることが大切でしょう。コロナ禍以降、親との関わりに関して、質、量ともに減っています。以前よりも親が学校へ何かの申し出などをする際の敷居が高くなっているように思います。子供や親がどのようなことを心配しているのか、困っているのかをできるだけ把握することが大切です。そういった情報を集める努力が小さなトラブルを未然に防ぎます。小さなトラブルが起こらないことで、大きなトラブルも防ぐことにつながります。

教員から子供や親へ積極的に関わる

 また、新年度は、教師が子供とも親とも、まだ信頼関係を構築できていないことが多いです。そういった状況では、さらに子供も親も学校にコンタクトをとりにくいです。学校(教員)側から積極的に動いていくという姿勢が大事でしょう。私の知り合いの教員は、この時期にできるだけ多くの保護者に電話などで連絡をするようにしているとのことでした。このタイミングで、電話などで話ができれば、親が気になっていることなどの話ができるからです。ぜひ教員の方から積極的に関わりを持っていきたいです。

 本企画では、読者の皆さまからの質問を受け付けています。下記のボタンをクリックして表示されるフォームより送信ください。実際に学校へ寄せられた相談のほか、保護者が学校へ伝えた相談など、鈴木先生に対応方法を聞いてみたい相談事例を募集します。

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《鈴木邦明》

鈴木邦明

帝京平成大学 人文社会学部児童学科 准教授。1971年神奈川県平塚市生まれ。1995年東京学芸大学教育学部卒業。2017年放送大学大学院文化科学研究科修了。神奈川県横浜市と埼玉県深谷市の公立小学校に計22年間勤務。2018年からは帝京平成大学において教員養成に携わっている。「学校と家庭をつなぐ」をテーマに保護者向けにも積極的に情報を発信している。

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