明日香が運営する保育研究プロジェクト「子ねくとラボ」の調査結果によると、約3割の保育士が育児休業の取得が困難または不可能と感じており、その理由として「人手不足で同僚に迷惑をかけるから」(38.8%)や「収入面での不安があるから」(34.7%)があげられた。
調査は、2025年7月7日から11日にかけて、保育園・幼稚園・こども園等で勤務する保育士・幼稚園教諭・保育教諭を対象に、育児介護休業法改正に関する意識調査を行い、146名の有効回答を得た。
育児介護休業法改正については、2025年4月の法改正を74.1%、10月の法改正を72.1%の保育士が認知している。法改正に賛成する保育士は81.1%で、賛成理由として「保育士も育児と仕事の両立がしやすくなると思うから」が55.2%で最多だった。
一方で、52.4%の保育士が近年の処遇改善を実感できていないと回答しており、「他業種と比較してまだ低水準だから」(53.3%)や「給与の上昇幅が期待より小さいから」(42.7%)がおもな理由としてあげられている。
調査結果からは、育児休業制度の利用が難しい現状と、処遇改善の実感が乏しいという保育士の声が浮き彫りになった。法改正による制度改善が期待されるが、現場の人手不足が制度活用を阻んでいる。また、処遇改善の取組みが進められているものの、多くの保育士がその効果を感じられていないことが明らかになった。
保育士が育児と仕事を両立できる環境を整えるためには、代替職員の確保や柔軟な働き方を可能にする居宅訪問型保育サービスなど、多様な保育サービスの活用が求められる。さらに、2025年4月の制度改正により、教育・保育施設設置者の経営状況の公表が義務化される。公的資金が適切に保育現場で働く人々に還元されているかを視覚化することが目的の1つとして掲げられているが、人材確保をより円滑に行うには、運営状況の透明性以外に、取り組んでいる内容を効果的に外部に伝える発信力も、保育事業者に求められていると言える。