文部科学省は2025年2月28日、全国の教育委員会や学校法人に対し、児童生徒の自殺予防に関する取組みの強化を求める通知を発出した。2024年の児童生徒の自殺者数が過去最多となる見込みであることを受け、進路指導の充実や見守り活動の強化を求めている。
この通知は、2024年の児童生徒の自殺者数が527人と過去最多となる見込みであることを背景にしている。警察庁と厚生労働省の自殺統計によれば、学業不振や進路に関する悩みが自殺の原因として多くあげられている。3月は進学や進級を控えた時期であり、進路に迷う児童生徒が増えることが予想されるため、進路指導の充実が求められている。
文部科学省は、各学校において長期休業の開始前からアンケート調査や教育相談を実施し、児童生徒の悩みや困難を早期に発見することを推奨している。ICTツールを活用することで、教職員が児童生徒の状況を多面的に把握し、早期支援につなげることが可能になると考えられている。
さらに、文部科学省は「1人1台端末を活用した心の健康観察」の導入を推進しており、これにより児童生徒の心や体調の変化を早期に発見し、支援することを目指している。地方財政措置も講じられ、ICT環境の整備が進められている。
学校内では、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの協力を得て、教育相談体制を構築することが求められている。児童生徒が自殺をほのめかした場合には、校内連携型危機対応チームを組織し、迅速な対応を行うことが必要とされている。
また、保護者に対しては、家庭における見守りを促し、児童生徒の悩みや変化を学校に相談するよう周知することが求められている。学校は、保護者からの相談に対して関係機関と連携し、適切に対応することが重要である。
この通知は、児童生徒の自殺予防に向けた具体的な取組みを示しており、学校や教育委員会が連携して取り組むことが求められている。文部科学省は、児童生徒が安心して生活できる環境を整えるため、引き続き支援を行う方針である。