あべ文部科学大臣は2025年2月28日、記者会見で、2025年度予算案の修正をめぐり3党合意された教育無償化の影響と課題や、「自殺対策強化月間」におけるメッセージ発信、教員の時間外在校等時間の適切な把握について発言した。
冒頭、あべ大臣は国立極地研究所の視察を行い、南極で採取された約70万年前の空気が閉じ込められた氷に関する研究を視察したことを報告した。さらに、100万年を超える氷の採掘が進行中であることを説明し、地球環境変動の解明に向けた極域研究の重要性を強調した。また、南極地域観測隊が持ち帰った世界最大級の火星の隕石が大阪関西万博に展示予定であることを述べ、万博を通じて国立極地研究所の活動を広く知ってもらう機会になるとした。
この視察の目的は、地球環境変動の解明に向けた極域研究の重要性を再認識することにある。南極や北極での研究は、地球の過去の気候変動を理解するための貴重なデータを提供する。文部科学省は、引き続き南極および北極における極域研究の推進に取り組む方針を示した。
次に、3月が自殺対策強化月間であることを受け、「2024年の児童生徒の自殺者数が暫定で過去最多の527人に達したことを重大に受け止めている」と述べた。厚生労働省やこども家庭庁とともに、若い世代に向けたメッセージを発信し、教育委員会にも通達を行う予定である。児童生徒や学生には、悩みや不安を1人で抱え込まず、誰かに話を聞いてもらうことを促すメッセージを伝える。
さらに、教育関係者や保護者には、児童生徒の態度に現れる微妙なサインに注意を払い、不安や悩みの声に耳を傾けるよう呼びかけた。文部科学省は、教育現場での自殺対策を強化し、子供たちが安心して学べる環境づくりに努める。
また、2025年度の高度戦略的創造研究推進事業における戦略目標を決定したことを発表した。科学の潮流や政策課題を俯瞰し、戦略的な基礎研究の方向性を定めるもので、分野横断の6つの目標を設定した。4月以降、JST（科学技術振興機構）などで公募を開始し、多くの研究者からの意欲的な提案を期待している。
さらに、教育政策に関する合意についても言及した。自民党、公明党、日本維新の会の3党が、高校無償化について合意したことを受け、文部科学省は教育費負担の軽減に取り組むことが重要であると考えている。合意内容の実現に向け、関係者の意見を拝聴しながら取り組む方針を示した。
私立高校への授業料支援拡充により、私立高校への進学希望者が増加する可能性があることを指摘し、支援の拡充に伴う授業料の値上げが行われないよう留意する必要があると述べた。文部科学省は、高校教育全体にとって意義のある取組みを進めるため、具体的な検討を続けるとしている。
