2025年2月7日、文部科学省は大学授業料無償化と教師給与改正に関する2本の法律案を閣議決定した。これにより、2025年度から多子世帯の学生に対して所得制限なく一定額まで大学の授業料と入学金が無償化される。また、教師の給与に関する特別措置法の改正により、教職調整額の引き上げや働き方改革が推進される。
大学授業料無償化の背景には、子供未来戦略に基づく教育支援の強化がある。多子世帯の学生が経済的な理由で進学を諦めることがないよう、所得制限を撤廃し、教育の機会を広げることが目的だ。一方、教師給与改正案は、優れた人材を確保し、学校教育の質を向上させることを目指している。教職調整額の引き上げや働き方改革を通じて、教師の働きやすい環境を整備する。
同日、あべ文部科学大臣は茨城県の日本原子力研究開発機構を訪問し、高速実験炉「常陽」や高温ガス炉の開発状況を視察した。視察を通じて、原子力技術の高さとそれを支える人材育成の重要性を改めて認識したと述べた。
また、書店活性化に向けた取組みも発表された。出版文化産業振興財団の調査によれば、書店が存在しない市町村の割合は2024年11月現在で約28%にのぼる。書店は地域における文化の発信拠点であり、その減少は文字活字文化の振興に影響を与えるとされる。文部科学省は、地域に根ざした読書会などを通じて文字活字文化の進行を図る取組みを新たに行う予定だ。
さらに、経済産業省と連携し、書店の収益構造の改善やデジタル技術の活用を検討中である。文部科学省は、読書活動の推進と文字活字文化の進行の観点から、書店活性化プランの策定に協力する方針を示した。
今回の法律案について、野党の賛否は不明だが、高等教育費の負担軽減や教師の処遇改善の必要性については各党の賛同が得られると見込まれている。文部科学省は、法律案の成立に向けて丁寧に説明を行い、理解を得るために全力を尽くすとしている。