公立学校教員の残業代の代わりに給与の一定割合を支給する「教職調整額」について、政府は2024年12月24日、現行の4%から、2030年度までに10%へ引き上げることを決めた。教職調整額の引上げは約50年ぶり。2026年度からは、中学校にも35人学級を拡大する。
文部科学省のあべ俊子大臣と財務省の加藤勝信大臣が同日折衝。教師の処遇改善について、給特法(公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法)を改正し、教職調整額を2030年度までに10%へ引き上げるとともに、学級担任への手当ての加算など、職責と業務負担に応じた給与とすることで合意した。
教職員定数については、今後4年間で計画的に改善することを決め、2025年度予算では小学校教科担任制や中学校生徒指導担当教師の拡充などのため、2,190人の改善を行う。小学校35人学級の推進にともなう定数改善などをあわせると、5,827人の増員となり、直近20年間で最大の改善数になるとしている。
2026年度からは、中学校35人学級への定数改善も実施。中学校でも35人学級を学年進行で順次進めていく。働き方改革については、教師の平均時間外在校等時間を月20時間程度とすることを目指し、今後5年間で約3割縮減し、月30時間程度とすることを目標に取組みを加速化していく。
文部科学省によると、教職調整額の引上げは約50年ぶり、中学校の35人学級は約40年ぶりの改革。2025年度の制度改正後の初任者の給与は、人事院勧告の影響もあわせると、年収ベースで15%増になるとしている。
12月24日に臨時記者会見を開いた文部科学省のあべ大臣は「今回の両大臣合意は、わが国の未来を担う子供たちのために教師への優れた人材の確保に向け、大変意義深いものになった。これにより公教育の再生に向けて、教師を取り巻く環境が抜本的に変わっていく」と述べた。
合意内容の自己採点については「50年ぶりとなる処遇改善また直近20年間で最大となる定数改善を盛り込むことができたことを鑑みると80点ぐらい。厳しい現場の状況を考えてみれば及第点ギリギリ61点ぐらいではないか」と語った。