教育のオープン化を目指すクジラボは、全国の小学校から特別支援学校までの現役教員259名を対象に、教職調整額引き上げ案に関する調査を実施した。調査結果によると、96.4%の教員が「教職調整額引き上げで先生になりたい人は増えない」と回答。さらに、教員の多くが業務量の負担を辞職理由にあげ、給与や待遇面の改善よりも業務改善を求めていることが明らかになった。
文部科学省は、教職の魅力向上と優れた人材確保を目的に、教職調整額を現行の4%から13%に引き上げる案を提出。一方、財務省は残業時間の削減を条件に段階的に10%まで引き上げる案を提示している。しかし、調査では83.0%の教員が「財務省案が可決されても働き方改革に期待はもてない」と回答。理由として「残業の隠蔽に変わる」「職場に業務を削減しようとする雰囲気がない」などがあげられた。
調査結果から、教員の多くが給与増よりも業務改善を強く求めていることがわかる。辞めたい理由として「業務量の負担」が68.9%で1位となり、「教育以外の業務割合の多さ」が59.2%で続いた。教職調整額が増えても、教員の84%が「先生を続けたい意向に変化は生まれない」と回答している。
このような状況下で、教員が求めるのは教育以外の業務の見直しや業務量の軽減である。教員が「子供たちの教育」に集中できる環境を整えることが重要であると示唆される。教科書の内容が多すぎるという指摘もあり、指導内容の精選が求められている。
業務改善を推進するには、学校現場における改革も不可欠である。学校長や教員ひとりひとりの工夫に加え、仕組み化による生産性向上に取り組む必要がある。しかし、重要度の高い業務が常に眼前に迫っていることから、推進が容易ではない。実際に「働き方改革に期待がもてない」という意見が多数を占めていることからも、この問題の難しさがみて取れる。
この状況下では、「子供たちに向きあう時間を最大限確保する」ことを共通の目的に据え、学校内外で一丸となって現場の改革に向きあう必要があると考えられる。クジラボは、教員支援の実績をもとに、自治体と連携しながらより良い学校づくりの一助となることを目指している。