「メンタルヘルスに問題を抱える学生が増えている」と学長が感じている大学は、85%にのぼることが、河合塾グループKEIアドバンスが2023年12月~2024年1月に実施した全国大学学長アンケートより明らかになった。
「全国大学学長アンケート」は、各大学の経営における取組みをまとめ、今後の経営ヒントとして提供することを目的に実施。2023年12月~2024年1月、全国の大学と大学院大学の合計812校を対象に行い、370校より回答を得た(回収率45.6%)。回答校の内訳は、国立大学44校、公立大学48校、私立大学278校。
入学試験について、「学生選抜(入試)方式で課題を抱えている、もしくは困難を感じていること」を尋ねたところ、もっとも多かったのは「一般選抜と年内入試(総合型・学校推薦型選抜)の定員配分」で、半数に近い47%が回答。2023年4月には、大学入学者の半数以上を年内入試合格者が占めるなど、拡大が進む年内入試について、定員バランスに腐心する大学のようすがみられた。また、2位には「総合型選抜の選抜方法」(37%)がランクイン。多面的・総合的に受験生の資質・能力を評価する総合型選抜の運用について、各大学が試行錯誤する姿がうかがえる。
メンタルヘルスについて、「学生のメンタルヘルスへの取組み、学生の退学・休学への対応について、課題を抱えている、もしくは困難を感じていること」の質問に対しては、85%の大学が「メンタルヘルスに問題を抱える学生が増えている」と回答。次点の「学生の退学・休学が増えている」(32%)を大きく上回り、コロナ禍収束後も学生のメンタルヘルスにかかわる問題は減少せず、むしろ増加の傾向にあることが示された。
また、「ダイバーシティ、ジェンダー格差是正、環境などの面で、今後、中長期的に(5年から10年かけて)力を入れたい取組み」について、もっとも多かったのは「学生のメンタルヘルスへの取組み」で69%が回答。以下、「学生の退学の防止」(54%)、「キャンパス内のダイバーシティ・公平性、包摂性の促進」(51%)と続いた。ここでも、学生のメンタルヘルスに対する課題感の強さが現れる結果となった。
国際化・グローバル化について「大学の国際化、グローバル化への対応状況について、力を入れている項目」については、「海外からの(外国人)留学生受け入れの増加、支援」「海外との大学間協力、連携の増強」(64%)、「海外へ留学する日本人学生の増加、支援」(61%)との回答が多く、留学生の交換を通した人的交流や大学間連携を重視しているようすがうかがえる。
「全国大学学長アンケート」ではこのほか、広報活動としてのSNS、環境の持続可能性への取組み、女子大学の使命やニーズについてなど、多彩な質問を取り上げている。アンケートの結果は、河合塾グループKEIアドバンスのWebサイトで確認することができる。