サイバー大学は2025年2月12日、福岡市立福翔高等学校、博多工業高等学校、福岡女子高等学校、福岡西陵高等学校と高大連携の包括協定を締結した。この協定に基づき、2025年度春学期より、サイバー大学の正規オンライン授業科目を4校の生徒に無償で提供することが決定した。
サイバー大学は、福岡県福岡市の構造改革特別区域計画「福岡アジアビジネス特区」による規制緩和を受けて設立されたフルオンライン大学で、2007年4月に開学した。
今回の協定は、特区計画の趣旨に則り、協定校と連携し、相互に協力することで地域の高校生ひとりひとりの能力を伸ばし、学校教育の振興と地域社会の発展に寄与することを目的としている。
提供される授業科目は「データサイエンス入門」で、全15回の授業を通じてデータサイエンス・人工知能の基礎概念や社会的背景、データの収集方法と前処理手法、データ利活用方法と留意点を学ぶことができる。この科目は、文部科学省が推進する「数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度」において、「リテラシーレベル プラス」として選定されている。
日本では、理工系分野に進学する学生が欧米に比べて少ないことが指摘されており、長期的な技術革新の停滞やそれにともなうグローバル競争力の低下が懸念されている。こうした背景を受け、サイバー大学の「データサイエンス入門」は初心者向けに設計されており、高校生が大学レベルの教育に早期に触れる機会を提供し、理工系分野への興味を喚起することを目指している。
このオンライン授業は、場所を問わず質の高い教育を受けることができる点が特長であり、地域の高校に通いながらも、将来に向けて学びの幅を広げることが期待される。履修し合格した高校生には、単位の授与とともに、身に付けた知識とスキルをデジタル証明するためのオープンバッジが発行される。
今後、サイバー大学は今回の協定を契機として、地域の教育機関や自治体と連携し、高校教育の充実と地域の学びの場の活性化に積極的に貢献していく方針だ。
福岡市立高等学校校長会の福岡哲朗会長(福岡市立博多工業高等学校 校長)は、「この協定を通じて、市立高校生が大学のオンライン授業を受ける機会を得ることは、教育の未来に向けた大きな一歩である」と述べ、サイバー大学が提供する質の高い正規のオンライン授業により、生徒ひとりひとりの可能性がより広がることを期待していると語った。
一方、サイバー大学の川原洋学長は、「福岡市立高等学校の生徒が本学IT総合学部の正規専門科目を受講できることを大変嬉しく思う」とし、データサイエンスやAIの基礎を学ぶことで、未来の進路がより広がることを確信しているとコメントした。
サイバー大学は、福岡市が内閣府から認定を受けた構造改革特別区域計画を活用し、文部科学省の認可を受けて開学した通信制大学。「情報革命で人々に学習の機会を」を理念に掲げ、現代社会に必要なITとビジネスが学べるIT総合学部を設置している。独自開発したeラーニングプラットフォーム「Cloud Campus」を活用し、いつでも自分の都合にあわせて学習できるオンデマンド形式の授業を展開している。