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働き方改革「進んでいない」7割、多忙で「やりがい低下」も8割…中高教職員調査

 システックITソリューションは2026年4月10日、中学校・高等学校の教職員を対象に実施した調査の結果を公表した。約8割の教職員が多忙さを理由に「やりがい」の低下を感じており、校務支援システムの導入による残業削減に約6割が期待を寄せていることがわかった。

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学校での役職/平均的な定時外労働時間(残業時間)
  • 学校での役職/平均的な定時外労働時間(残業時間)
  • 定時外労働の原因として、特に時間を費やしている業務/教務の多忙さが原因で、教員としての仕事の「やりがい」が低減したと思うことはあるか
  • 校務支援システム導入について
  • 校務支援システム活用などで業務が効率化された場合、削減できた時間を何にあてたいか
  • 働き方改革について
  • 今後、教務業務の効率化を進めるために必要だと感じる取組み

 システックITソリューションは2026年4月10日、中学校・高等学校の教職員を対象に実施した調査の結果を公表した。約8割の教職員が多忙さを理由に「やりがい」の低下を感じており、校務支援システムの導入による残業削減に約6割が期待を寄せていることがわかった。

 「教員の具体的な残業時間と、校務支援システム導入による残業削減効果の期待値」に関する調査は2026年2月4日~6日、全国の中学校・高等学校の教職員1,010人を対象に実施。PRIZMAによるインターネット調査として行われた。

 まず「学校での役職」を尋ねたところ、「一般教科教員(43.4%)」が最多で、「クラス担任(副担任)(31.1%)」「学年主任(18.2%)」と続いた。現場の最前線に立つ一般教科教員とクラス担任(副担任)が回答者の約7割を占める一方、学年主任や教務部長(教務責任者)、副校長・教頭といった組織運営を担う層からも一定数の回答が得られた。

 月の平均的な定時外労働時間(残業時間)は、「10時間未満(19.5%)」「10~20時間未満(16.4%)」「20~30時間未満(22.7%)」と、約6割が月30時間未満と回答した。一方、残りの約4割は月30時間以上の残業を行っており、「60時間以上」という長時間労働の教職員も含まれていた。この結果は、「比較的定時に近い層」と「極端な長時間労働層」への二極化の可能性を示している。

 定時外労働の原因として特に時間を費やしている業務については、「授業準備(教材作成含む)(42.2%)」が最多で、「成績処理(33.7%)」「学校行事の準備・運営(31.9%)」が続いた。教員の本質的な業務である授業準備が最多となった一方、成績処理などの事務的業務や学校行事の準備・運営といった季節性の高い業務も上位に入り、これらが恒常的に時間を圧迫している実態が浮き彫りになった。

 さらに「現在の教務の多忙さが原因で、教員としての仕事の『やりがい』が低減したと思うことはあるか」と尋ねたところ、「よくある(28.7%)」「ときどきある(48.2%)」と、約8割が肯定的な回答をした。システックITソリューションは「業務過多が肉体的な疲労だけでなく、精神的な充足感をも削いでいる状況は、離職や休職のリスクを高める要因となり得る」と分析している。

 「新たに校務支援システムを導入することで業務の効率化が図れた場合、月に何時間程度の事務工数を削減できると予測するか」と尋ねたところ、「5時間未満(34.3%)」が最多で、「5~10時間未満(23.0%)」「10~15時間未満(22.7%)」と続いた。約8割が月15時間未満の削減を見込んでおり、劇的な時間短縮よりも日々の積み重ねによる確実な負担軽減を求めていることがわかった。

 役職別にみると、校長や副校長・教頭、教務部長(教務責任者)といった学校全体のマネジメントや事務統括を担う層ほど、システムによる削減効果を高く見積もる傾向がみられた。成績集計や報告書作成といったデータ処理業務を多く抱えているためと考えられる。一方、生徒と向き合う時間が長い一般教科教員やクラス担任(副担任)、進路指導担当は、システムで代替できない対人業務が中心であるため、効率化の実感が湧きにくい側面があるようだという。

 「校務支援システムを活用することで、残業時間は削減されると思うか」と尋ねたところ、「大幅に削減されると思う(10.3%)」「ある程度削減されると思う(45.6%)」と、約6割が残業削減に期待を寄せていることがわかった。システム導入だけでは残業時間は削減されないと考える慎重派が約4割存在するものの、それを上回る約6割がデジタル化による現状打破に期待を示した。

 業務が効率化された場合に削減できた時間を何にあてたいかについては、「休息・プライベートの充実(22.4%)」が最多で、「授業改善(教材研究・指導の質向上)(21.2%)」「生徒とのコミュニケーション(20.1%)」が続いた。現状の疲労度の高さを物語る結果となった一方、授業改善や生徒とのコミュニケーションも上位に入り、本来の教育活動に時間を使いたいという意欲もうかがえる結果となった。

 役職別では、一般教科教員で「休息・プライベートの充実」の割合が他の役職より高く、現場の疲弊の深刻さを示している。一方、進路指導担当や副校長・教頭、校長などはシステム導入を授業改善につなげたいという視点をもっており、役職間のギャップが明らかになった。

 「勤務校での働き方改革は進んでいると感じるか」と尋ねたところ、「まったく進んでいない(17.3%)」「あまり進んでいない(52.2%)」と、約7割が否定的な回答をした。制度上の変更はあっても、日々の業務量や人員配置といった根本的な課題が解決されていないため、現場レベルでは変化を感じにくい状況が続いている可能性があるという。

 一方、「ある程度進んでいる」「大きく進んでいる」と回答した層に、特に効果を感じる施策を尋ねたところ、「校務の削減(書類・会議の簡素化、決裁フローの改善)(39.6%)」が最多で、「校務支援システムの導入・拡充(成績処理・出欠管理・校務分掌のデジタル化など)(32.5%)」「業務フローの改善・標準化(23.4%)」が続いた。物理的な人員増よりも校務の削減やシステム導入が上位にあげられており、限られた人員の中でもデジタル活用によって働き方を変えられることが示された。

 「今後、教務業務の効率化を進めるために必要だと感じる取組み」については、「教員数・事務職員数の増員(58.3%)」が最多で、「学校内の業務フローの抜本的見直し(43.8%)」「非効率な校務の削減(ペーパーレス化・会議など)(33.9%)」と続いた。人員不足が教育現場の根本的な課題として浮き彫りになった一方、人員確保が容易ではない現状において、業務フローの見直しや非効率な校務の削減が現実的な解決策として重要性を増しているとしている。

《吹野准》

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