コドモンは、全国の約20,000施設(2024年11月1日時点)で導入されている保育・教育施設向けのICT業務支援ツール。日々の業務をICT化することで職員の負担を軽減するだけでなく、子供たちに向き合う時間とゆとりを生み出し、保育・教育の質向上にも貢献している。
葛飾区の梅田小・梅田小第二学童保育クラブはコドモンを導入して業務省力化を実現。子供と向き合う時間が増え、保護者の満足度が向上したという。学童保育クラブを運営する社会福祉法人厚生福祉会 学童部門運営管理責任者の佐々木美緒子氏、梅田小・梅田小第二学童保育クラブの成瀬大輔氏、中青戸・中青戸第二・中青戸第三学童保育クラブの井上麻美氏に、導入の背景やICT活用の具体的な効果などについて話を聞いた。
主体性を尊重、子供たちの「やりたい気持ち」を大切に
---梅田小・梅田小第二学童保育クラブについて教えてください。
成瀬氏:梅田小・梅田小第二学童保育クラブは、2016年4月に開設されました。対象は小学1~6年生ですが、現在はおもに1~3年生、83名が登録しています。梅田小学校の児童だけでなく、近隣の水元特別支援学校(小学部)と水元小合学園の児童も受け入れています。1日約70名の児童が利用しており、正規職員とパート職員、1日8~9名体制で対応しています。放課後の利用時間は通常保育が午後6時まで、延長保育が午後7時までです。夏休みなどの長期休暇中は、午前8時から開所しています。
佐々木氏:梅田小・梅田小第二学童保育クラブを運営する厚生福祉会は、葛飾区内で5つの学童保育クラブと5つの保育園を運営しています。運営するすべての学童保育クラブは、共通の理念を大切にしています。特に子供たちの主体性を尊重することを重視しており、大人が子供たちの生活や遊びを形作るのではなく、子供ひとりひとりが自分の意志で行動できる環境を整えています。

---子供たちは学童でどのように過ごしているのでしょうか。
成瀬氏:日々の活動は、宿題、自由時間、おやつ、外遊びなど、大まかな流れは決まっていますが、何に取り組むかは子供たちが自由に決めて過ごしています。また、年間を通じてさまざまな行事を実施しており、子供たちの「やりたい」と思う気持ちを大切にしながら、子供の発案から生まれたものを活動につなげるようにしています。
今年のお祭りでは、「何を出店をするのか」「誰が何を担当するのか」など、子供たちが考えて行いました。それ以外にも、子供たちの発案で球技大会を開いたり、ダンスの発表会をしたりしています。
事務作業の負担軽減で、より子供と向き合えるように
---コドモンを導入した経緯を教えてください。
成瀬氏:梅田小・梅田小第二学童保育クラブは2021年4月にコドモンを導入しましたが、その1年前に同じ法人の別の学童クラブで導入したのが始まりです。1年間試験的に使ってみた結果、職員の事務作業の負担が軽減されるなど、多くのメリットがあったので梅田小・梅田小第二学童保育クラブでも導入することにしました。
現在は、厚生福祉会が運営するすべての学童クラブでコドモンを使っています。系列の学童保育クラブと日頃から密に連携しており、月2回リーダーが集まって情報を共有しているので、コドモンの使い方を教えあうこともあります。
---コドモンのどんな機能を使っていますか。また、導入前後でどのような変化がありましたか。
成瀬氏:梅田小・梅田小第二学童保育クラブでは、子供たちの入退室管理、保護者との連絡、お知らせやアンケートの一斉送信、写真共有などの機能を活用しています。私は10年ほど前から学童で勤務していますが、コドモンの導入で事務作業が格段に省力化され、子供と向き合う時間がとても増えました。
井上氏:私は、学童での導入前に娘が通う保育園がコドモンを使っていて、保護者の目線で便利さを実感していました。登園管理の機能を使っていて「学童でも使えたら便利だな」と思っていました。
私が勤務する中青戸・中青戸第二・中青戸第三学童保育クラブには約160名の子供が通っています。コドモンの導入以前は、子供たちの入退室を名前が書かれたマグネットをホワイトボードに貼って管理していました。子供ひとりひとりの帰宅時間の管理や、帰宅させる業務だけでも職員の負担は非常に大きなものでした。
コドモン導入後、子供たちは学童に来たときと、帰るときに自分のカードを端末にかざし、入退室を記録します。同時にアプリを登録している保護者にも「入室(退室)した」という連絡が行くので保護者への連絡も密にできるようになり、非常に便利になりました。また、保護者が帰宅時間だけではなくお迎えの有無もアプリで登録でき、学童のタブレットにはその情報が整理されて表示されるので、人の作業による間違いがなくなった点も非常に良かったです。子供たちも、カードをタッチすると画面に「こんにちは」「さようなら」と文字が出るので喜んで使っています。
佐々木氏:コドモンの入退室管理機能は利便性を考えて導入しましたが、想定外の効果もありました。子供たちにとっては、カードをタッチしたときに鳴る「ピッ」という音が「学校から学童保育クラブに帰ってきた」というスイッチの役割を果たしているようです。
学校で友達とケンカをしたり、先生に叱られたりして落ち込んでいても、ここに帰ってきてカードをタッチすると、子供の気持ちが切り替わり、表情が変わるのが見ていて良くわかります。思いがけないプラスの効果があったことは嬉しい驚きです。

保護者からの出欠連絡の管理も、コドモンのおかげでとても便利になりました。以前は午前9時半までに電話連絡をいただいていたので、職員は朝から電話の対応に追われていました。また、その内容をほかの職員とも共有しなければいけないため、それぞれの電話の内容をメモに残さなければなりませんでした。今では連絡をまとめて確認できるので、電話対応に追われることもなくなり、ミスも発生しなくなりました。
成瀬氏:そうですね。保護者との連絡がデジタルになったことも大きな変化です。コドモン導入前は、保護者からの連絡はすべて手書きの連絡帳で行っており、子供が学童に来てから連絡帳をチェックしなければいけませんでした。しかし導入後は、保護者からの連絡がアプリで届き、事前に家庭でのようすを把握したうえで子供たちを迎えることができるようになりました。また、子供たちにゆっくり向き合う時間と気持ちのゆとりが生まれ、保育の質も向上したと思います。
お便りの送信機能も業務省力化に役立っています。以前は職員がプリントを1枚ずつ折って、子供たちの名前を書いて配付していたため、かなりの時間と労力が必要でした。コドモンを使うことで、保護者に一斉かつ確実にプリントを渡すことができ、ランドセルの中からくしゃくしゃになったプリントが出てくるという心配もなくなりました。
井上氏:中青戸・中青戸第二・中青戸第三学童保育クラブでは、今年から請求管理機能を使っています。これまでは、160名分の延長保育の利用状況を専任の職員2名で管理し、ほかの2名の職員がチェックして毎月の請求額を算出して、保護者に請求していました。
今年は請求管理機能を使い始めた初年度ということもあり、従来の管理方法と並行してコドモンの請求管理を使っていますが、コドモンと照らし合わせて請求額が合っているかを確認しています。コドモンの請求管理機能では、入退室管理と利用料金の算出が連携しているので、集計の手間が大幅に軽減され、必要な人手も時間も半分以下に減りました。
佐々木氏:コドモンの導入を機に、5つの学童クラブでは指導計画や保護者からの懸念事項、ヒヤリハット事例などもデジタルで共有するようになり、運営がスムーズになりました。コドモンを通じて職員同士の連携もより一層強まっているように感じています。
充実のサポート体制で安心、入退室管理は保護者にも好評
---導入時、不安はありませんでしたか。また、その不安をどのように解決しましたか。
成瀬氏:やはり導入当初は、職員全員が不安を抱えていたと思います。慣れ親しんできた手作業から、新しいデジタルシステムへの移行に戸惑いもあったのではないでしょうか。しかし、学童保育クラブ同士の連携や職員同士の情報共有を進めることで、結果的にチームワークが強まりましたし、アプリ自体はとてもわかりやすく使いやすいので、使ってみてからは特に不安を感じていません。
井上氏:導入時には、コドモンのスタッフが現場に来て、基本的な操作方法を丁寧に教えてくださいました。また、電話サポートセンターも非常に手厚く対応してくれ、何度も助けられています。トラブルが発生した際には、サポートセンターの担当者が画面共有しながら一緒に確認できたので、その場ですぐに解決することができました。このようなサポート体制があるおかげで、日々の業務で安心して使うことができています。
---コドモン導入後、保護者からの評判はいかがですか。
成瀬氏:もっとも好評なのは入退室管理です。子供が学童に来てカードをタッチすると、保護者にメールが届くので「安心できる」という声が多いです。また、欠席や時間変更の連絡をアプリで簡単に送信できるため、早朝や通勤途中でも気軽に連絡できると保護者に好評です。さらに、スケジュールや子供たちのようすをアプリで確認できて嬉しいという声もいただいています。
井上氏:コドモンは祖父母など複数名を保護者として登録でき、入退室の連絡は登録者全員へ届くようになっています。そのため、家族間での子供の帰宅時間の連絡も不要になります。さらに、登録者はコドモンで共有された写真を見ることができるので、家族で学童での子供のようすを知ることができ、楽しんでいただいているご家庭もあるようです。
かつての紙の連絡帳は思い出として残せる良さがありました。兄弟で学童に来ていて、紙の連絡帳とコドモンの両方使ったことがある保護者は、紙の連絡帳を大切に保管してくださっているそうですが、アプリで連絡や共有ができるようになったのは非常に便利だと言っていました。デジタルは思い出が残せないようなイメージもありますが、卒業後でもコドモンのアカウントを残しておけば、記録を振り返ることができます。
佐々木氏:コドモンを使うようになって、保護者が気軽に連絡してくださるようになったと感じています。情報共有がこれまで以上に密になり、コミュニケーションが深まったことはとても素晴らしいですね。
---今後、コドモンをどのように活用していきたいと考えていますか。
成瀬氏:まずは、現在使っている機能を職員が十分に活用できるようにすることが重要だと考えています。ICTの活用で職員や保護者の負担を軽減し、子供たちひとりひとりとしっかり向き合う時間を確保できるのは、非常にありがたいと感じています。
佐々木氏:学童保育クラブは、子供たちが学校でのさまざまな体験や気持ちを抱えて帰ってくる場所ですから、コドモンによって、職員が子供たちひとりひとりと向き合う時間が増えたことは、喜ばしいことです。
私はトラブルこそが子供の成長の種であり、学童保育クラブの真髄は「子供同士のトラブルを通じての成長」だと考えています。各クラブでは毎月お便りを発行しており、その中の「喜怒哀楽」というコーナーで子供たちのケンカや揉めごと、涙や不安、そこからつながる成長のようすを記しています。
これからも子供たちの成長を見守るとともに、コドモンを通じて保護者に私たちの想いを伝え、保護者のご意見も聞きながら子供たちが安心して楽しく過ごせる場所を作っていきたいと考えています。
「業務を省力化することができ、時間と心にゆとりが生まれた」。取材を通じて、コドモン導入によってこれまで以上に子供に向き合う時間が増えた職員の皆さんの喜びが伝わってきた。取材後に、保護者へお便りとして発信している「喜怒哀楽」をまとめた冊子を拝見した。子供同士の会話や表情、その後のエピソードが驚くほど詳細に記録されていて、心温まる。ICTが、この温かい眼差しをより豊かにするツールになっていると感じた取材だった。
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