文部科学省は2024年9月30日、2023年度(令和5年度)日本語教育実態調査の結果を公表した。留学生など日本語学習者数は引き続き増加し、前年度比4万3,362人増の26万3,170人。一方、教える側の日本語教師は、ボランティアが50.3%を占めていることが明らかとなった。
日本語教育実態調査は、国内の外国人等に対する日本語教育の状況を把握するため、文化庁が毎年度実施している調査。調査対象は、都道府県、市区町村、各教育委員会のほか、大学等機関、法務省告示機関、国際交流協会、特定非営利活動法人、学校法人・準学校法人、株式会社・有限会社、社団法人・財団法人等のうち、外国人に対する日本語教育または日本語教師養成・研修を実施している国内の機関・施設等。調査期日は2023年11月1日現在。
11月1日時点で、国内における日本語教育実施機関・施設等数は2,727(前年度比37減)、日本語教師等数は4万6,257人(同2,227人増)、日本語学習者数は26万3,170人(同4万3,362人増)。1990年度(平成2年度)と比べると、日本語教育実施機関・施設等数は約3.3倍、日本語教師等の数は約5.6倍、日本語学習者数は約4.3倍へ、それぞれ増加している。
日本語教育実施機関・施設等数は、法務省告示機関が23.2%ともっとも多く、ついで、大学等機関20.0%、任意団体17.4%、国際交流協会12.4%、地方公共団体12.3%、教育委員会8.4%と続く。
日本語教師等数の割合は、法務省告示機関28.4%、国際交流協会20.1%、任意団体13.7%、地方公共団体13.3%、大学等機関9.8%、教育委員会7.2%の順となっている。職務別では、ボランティア50.3%がもっとも多く、非常勤は34.1%、常勤は15.6%にとどまった。年代別では60代が全体の21.8%、50代が19.5%。ボランティアの比率は、過去8年間を通してわずかに減少してきていたが、依然として全体の約5割を占めていることが明らかとなった。
日本語学習者数は一貫して増加傾向にあったが、2020年度からは新型コロナウイルス感染拡大による入国制限等の影響により減少。しかし、2022年度は入国制限の緩和を受けて大幅に増加し、2023年度も引き続き増加した。日本語学習者の割合は、法務省告示機関46.4%がもっとも多く、大学等機関20.3%、国際交流協会9.4%、地方公共団体7.6%、任意団体5.5%、教育委員会3.9%の順。
日本語学習者の出身地域は、大学等機関、一般の施設・団体共に、アジア地域が8割と大多数を占める。大学等機関ではアジア地域についでヨーロッパ地域6.4%、一般の施設・団体では南アメリカ地域3.8%が続く。 国別にみると、中国が最多の7万6,425人(29.0%)、ついでネパールが3万7,348人(14.2%)、ベトナムが3万3,971人(12.9%)。日本語学習者全体の66.2%が留学を目的に来日しており、3年未満の滞在が6割を超える。
国内で日本語教師等の養成・研修課程(コース)、科目等を設けている機関・施設等の数は726(前年度比15減)、教師等の数は5,677人(同758人増)、受講者数は3万1,019人(同2,371人増)。1990年度と比べると、機関・施設等は5.0倍、教師等は3.2倍、受講者は2.0倍に増加している。いずれも大学等機関が最多となっており、機関・施設等数全体の27.4%、教師等数全体の52.1%、受講者数全体の41.3%を占めた。受講者の出身地域は、日本が86.9%を占めもっとも多く、ついで、中国5.8%、韓国0.5%、ベトナム0.4%の順であった、
国内における地域日本語教育コーディネーターを配置している機関・施設等数は327、地域日本語教育コーディネーター数は808人。いずれも地方公共団体がもっとも多く、機関・施設等数全体の31.2%、地域日本語教育コーディネーター数全体の34.4%を占めた。地域日本語教育コーディネーターの業務内容は、「日本語教師等や関係機関との連絡・調整」が304件、「地域における日本語教育の企画・運営」が299件、「地域における日本語教育の実態把握」が236件、「日本語教師等の養成・研修」が155件、「その他」が55件であった。