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【教師のためのChatGPT ホントに使えるプロンプト】どこでもいつでも仮想のプロと意見交換

 ChatGPTなど高度な生成AIは社会の多くの場面で活用が進められており、教育活動でも効果的で安全・安心な活用方法が模索されている。「教師のためのChatGPT ホントに使えるプロンプト」(時事通信出版局)から、ChatGPTを授業や校務で活用している教師らがプロンプトの実例を紹介する。

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 ChatGPTなど高度な生成AIの活用が広がり、授業や校務で活用したいと考える先生も多いのではないか。企業人であり、現職の教員としてもChatGPTを用いた授業を実践している田中善将氏が監修した『教師のためのChatGPT ホントに使えるプロンプト』(時事通信出版局)では、ChatGPTを授業や校務で活用している「生成系AIを使った教育活動を研究・実践する教師の会」の教師らがプロンプトの実例を紹介。超実践的なAIの教育利用の方法として17のスキルを収録している。

 田中氏は、AIはすでに子供の学びや思考プロセスをドンピシャで言い当てられる水準になっており、「私たち教師は子供のためにAIを『自分事』として捉える責任があります」と述べている。生成AIは、難解なプログラミングの知識や、アプリケーション操作を覚えるプロセスは不要で、専門知識の代わり重要なのが、どのような言葉を使えば何ができるのかという「基礎的なイメージ」をもつことだという。同書では、ChatGPTの基本的な活用方法から、授業への転用、仕事への応用まで、具体的な例を用いて解説している。

 時事通信出版局の協力により、『教師のためのChatGPT ホントに使えるプロンプト』の一部を紹介する。

教師以外の視点に触れられる「仮想プロとの意見交換」

教室でも、自分の部屋でも、どこでもいつでも「プロ」の意見を聞ける

 探究的な活動をはじめ、多くの授業で「プロや専門家が来てくれたらなあ」と思うシーンがあります。たとえば、世界の宗教を学ぶ社会科の授業では、学者などの専門知識をもつ人、現地の人から直接学びたいと思うときがあります。AIを使うことで教室でいつでもそのような「専門家」や「プロ」の意見を求めることができるようになります。

実践レビュー

ここがスゴイ!
・どこでも、いつでも教師以外の「プロ」の意見を聞ける
・第三者としての視点を得ることができる
・出力結果を批評しながら学びを深めることができる

ここに注意!
・出力結果はバイアスがかかった内容である可能性があることを理解する
・思考や課題解決のきっかけを得るための「壁打ち」相手とする使い方を心がける

プロンプト実例(1) AI に役割を設定して、専門的な知識を問う

 このプロンプトは、ChatGPTに特定の役割(ペルソナ)を与えて、その役割になりきって応答するように指示をします。

ワンポイント!
 役割を与えることで、その役割に期待する知識領域に対して、より専門的で正確性が高い出力を得られる。ただし、完璧でないこともあるので、教師が十分留意する

※ここから先の展開はあくまで一例です。AIによる出力結果は毎回異なります。

展開例(2)AIが質問に回答

 AIは、プロンプト実例(1)で指定した「プロ」になりきって回答してくる。生徒たちは、その出力結果が適切であるか吟味しながら思考することが大事。

展開例(3)自分たちの意見を「壁打ち」する

 AIに単に意見を求めるだけでなく、自分たちの意見を伝えてどう思うかを「壁打ち」することもできます。

展開例(4)根気強く対話をする

 ChatGPTとの対話なので、自分の意見を強く主張することは、発言することが苦手な生徒にとって意見を出す練習にもなります。

展開例(5)目的(ゴール)を設定する

 役割を与えるだけではなく、目的(ゴール)も指示することで、それを踏まえた回答が出力されます。

展開例(6)明確に指示を出すことで、出力結果が変わる

 展開例(4)とくらべてわかる通り、適切に目的を設定することで、同じ意見をChatGPTに問いかけても、出力結果が変わります。

展開例(7)専門的な「ワークフロー」を知る

 「プロ」が行っているワークフローを出力するよう指示すると、課題解決のための手がかりを得ることもできます。たとえば、動画クリエイターの仕事の手順を聞いてみましょう。今、目の前にある課題を具体的に指示することで、それらに取り組むためのヒントを得ることができます。

展開例(8)対話を重ねて、自分だけの成果物をつくる

 1回の出力だけでは、ありきたりな答えしか返ってこない場合があります。自分が理想とする(納得する)状態になるまで対話を続けましょう。

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 1回の出力で満足して、それを間に受けないように注意。これでは、AIに判断を任せてしまうことになってしまう

応用編

 「プロ」の知見を、ほかのことに応用することもできます。たとえば、展開例(7)(8)の動画クリエイターの制作手順は、下記のように、課題解決のための手順や手法に落とし込むことができます。

 1.動画クリエイターの動画制作手順を知る
 2.目的の明確化やコンセプト、ストーリーを作成することの重要性を知る
 3.ここで学んだワークフローを他の活動で応用するための心構えを作成する

 1はChatGPTを利用し、2や3は生徒同士で熟議を重ねることで、自分たちだけの課題解決のためのワークフローを作成していきます。このように、ChatGPTが出力したことをヒントに、自分たちの考えを構築していくことができます。

実践者からのワンポイントアドバイス

 ここで紹介した事例のように、AIに質問をするためには、自分たちの意見がしっかりと確立されていないといけない場合があります。その意見をAI(仮想のプロ)に問いかけることで、自分たちの考えの欠点やよいところにも気付くことができるようになります。教室に大人が教師しかいない場合、こうした多様な意見に触れることは、なかなかできませんでしたが、AIを活用することで、子供たちの視野を広げることができます。

 また、対話を続けることで、“そういえば、これはどうするんだっけ?”のように、生徒同士の議論を促すこともできます。第三者としての立ち位置でChatGPTを利用することで、思考の整理ができるようになるのです。いつでも質問することができるので、たとえばコロナ禍のようなグループワークができないような状況でも、自分の意見を客観視する活動が可能です。
 このような自立的な学習を重ねていくことで、深い学びに近づくことができるようになるはずです。 (生成AIを使った教育活動を研究・実践する会 伊藤)

<協力:時事通信出版局>

※ここで紹介したChatGPTの画面は「バージョン3.5」のものです。環境やバージョンにより見え方が異なる場合があります。


 「教師のためのChatGPT ホントに使えるプロンプト」(時事通信出版局)は、「『個別最適な学び』が実現できる!」「『深い学び』につながる」「生徒の『学びの効率』をアップする」「生徒指導・保護者対応の質を上げる」「業務効率を圧倒的に上げる!」の5つのテーマに沿った17のスキルを紹介している。


《編集部》

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