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日本の学校における情報漏えい…半数が紙媒体、原因は紛失

 日本の教育機関における情報漏えいの46%が書類(紙媒体)によるものであり、発生原因の47.5%が紛失・置き忘れによるものであることが2024年7月2日、NordVPNの調査チームが発表した調査結果から明らかになった。情報管理のデジタル化とセキュリティ対策が喫緊の課題となっている。

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日本の教育機関における情報漏えい・セキュリティ対策の現状、世界の学校の状況との比較
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  • 日本の教育機関における個人情報漏えい事故の内訳
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 日本の教育機関における情報漏えいの46%が書類(紙媒体)によるものであり、発生原因の47.5%が紛失・置き忘れによるものであることが2024年7月2日、NordVPNの調査チームが発表した調査結果から明らかになった。情報管理のデジタル化とセキュリティ対策が喫緊の課題となっている。

 大手サイバーセキュリティ企業であるNordVPNの調査チームは、総務省やISEN(教育ネットワーク情報セキュリティ推進委員会)のデータをもとに、日本の教育機関における情報漏えい・セキュリティ対策の現状や、世界の学校の状況との比較をまとめ、図解化して公表した。

 NordVPNの調査によると、2022年に日本の学校(小中高)で発生した情報漏えい事故は200件、それにより漏えいした個人情報は36万2,465人にのぼる。漏えいした経路・媒体は、「書類」46%がもっとも多く、ついで「電子メール」17%、「USBメモリ」14%など。情報漏えいが発生した原因の47.5%は「紛失・置き忘れ」によるものだった。

 一方、「不正アクセス」に起因する割合は3.5%、「ウイルス感染」によるものは0.5%と低い数値にある。この結果から、セキュリティ対策やフィルタリングなどのソフト導入率は高いことがうかがえる。

 NordVPNサイバーセキュリティアドバイザーのアドリアヌス・ワーメンホーフェン氏は、「注目すべき点としては、情報漏えいの約半数が紙媒体で発生しているということです。対して、アメリカやイギリスの教育機関では、情報管理はおもに電子媒体で行われています」と欧米の教育機関との違いに触れた。

 たとえばイギリスでは、2012年の時点でイングランドにおける84%の学校が学校情報管理システム「MIS」を導入。アメリカでは、公立学校の90%が「SIS」と呼ばれる学生情報システムを使用しているという調査結果があるという。

 今後、日本の教育機関において、情報を取り扱う媒体の電子化は急務といえる。アドリアヌス・ワーメンホーフェン氏は、学校が取るべき情報セキュリティ対策の重要なポイントとして、「セキュリティポリシーの策定と実施」「情報セキュリティ教育によるリテラシー向上」「アクセス制限・フィルタリング」「ID・パスワード管理によるなりすまし対策」「校内LANのセキュリティ向上」の5つをあげている。

 これら複数の対策を講じてセキュリティを構築し、安全・快適な校内ネットワークを実現していくことが、日本の教育機関において求められている。

 調査結果の詳細なレポートはNordVPNのWebサイトからみることができる。

《畑山望》

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