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NII、OERリポジトリ試行版…大学開発教材の横断検索を実現

 情報・システム研究機構 国立情報学研究所(NII:エヌアイアイ)は2024年5月22日、大学等で開発された学習教材の普及と再利用の促進を図るべく「OERリポジトリ」の試行版の提供を開始した。リポジトリを利用することで、これまで国内の各機関が独自のプラットフォームや機関リポジトリで公開していた教材を、横断的に検索することが可能となる。

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NII OERリポジトリ(試行版)
  • NII OERリポジトリ(試行版)
  • 情報・システム研究機構 国立情報学研究所(NII)

 情報・システム研究機構 国立情報学研究所(NII:エヌアイアイ)は2024年5月22日、大学等で開発された学習教材の普及と再利用の促進を図るべく「OERリポジトリ」の試行版の提供を開始した。リポジトリを利用することで、これまで国内の各機関が独自のプラットフォームや機関リポジトリで公開していた教材を、横断的に検索することが可能となる。

 現在、国内の複数の研究・高等教育機関では、自機関で提供した講義の映像をまとめたOpenCourseWare(OCW)や、教育用ガイドライン等の学習教材を、誰でも無償で利用できるOpen Educational Resources(OER)として公開している。

 国外では、こうした機関や個人が作成したOERを集約・公開するためのプラットフォームとして、OER CommonsやMerlotといったサービスが提供・活用されているが、日本国内の教員・学習者が日本語で利用できるサービスは現状、提供されていない。NIIはこうした状況を踏まえ、国内の無償で学習できる学習教材のメタデータを集約したOERリポジトリの試行版を開発。サービス提供を開始した。

 今回公開する試行版のOERリポジトリには、Open Education Japanに加盟する団体が自機関のプラットフォーム上で公開しているOCWのメタデータや、国立情報学研究所が提供する学術機関リポジトリ・データベース(IRDB)に教材として集約されているメタデータを収集。5月27日現在、OERリポジトリのOCWには、名古屋大学、京都大学、九州大学、上智大学、筑波大学、北海道大学、国際基督教大学、放送大学、東京工業大学、東京大学の計3,700以上にのぼるアイテムが収集されており、検索機能を用いて必要な情報にアクセスできる。

 このOERリポジトリを利用することで、これまで国内の各機関が独自のプラットフォームや機関リポジトリで公開していた教材を、横断的に検索することが可能となり、教員はこれらの教材を授業資料として、学習者は自己学習を深めるための教材として、活用することができるようになる。

 NIIは、今回の試験運用を通じて得られた知見をもとに、国内での学習教材の流通と再利用に必要な機能や支援策を検討していく予定。今後は、NIIオープンサイエンス基盤研究センターで取り組んでいる研究データ管理も含むオープンサイエンスと関連する学習教材について、その再利用を促すためのプラットフォームとして改良を進めることを検討するとしている。

 また、Open Education Japan代表幹事の北海道大学情報基盤センター・重田勝介教授は、OERリポジトリのAPIを用いた国内のOCWを横断検索できるWebサイトを近日中に提供予定とし、「このような相互運用性を有するプラットフォームにより、OERの利用、流通が加速することを期待いたします」とコメントを寄せた。

《畑山望》

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