横浜市が進める官民一体で課題解決を目指す創発・共創のオープンプラットフォーム「YOKOHAMA Hack!」は、ICTを活用した子ども見守りサービス4製品について保育所等での実証実験を完了したとして結果を公開した。今後、保育現場で活用できるICTサービスの情報発信や導入に係る補助金の支給などにより、支援を続けるとしている。
YOKOHAMA Hack!は、横浜市の事業やサービスにおける課題(ニーズ)と、民間企業などが有するデジタル技術(シーズ)をマッチングし、課題の解決を目指す創発・共創のオープンなプラットフォーム。市民や企業等とのつながりと、横浜の都市としての強みを推進力に、課題の解決と新たな価値を提供するサービスの創出を目指し、さまざまな実証実験やアイデア募集を行っている。
「ICTを活用した子ども見守りサービス」に関する実証実験は、子供の置き去り等の事故防止に向けて2024年2月より開始。製品の安全性や装着性、保育士の負担にならないかなど、保育所等での実運用時の課題と解決策を明らかにし、事業者側がサービスの有効性を高める改良を加えることを目的に、保育所等と協力した実証実験を行った。実際、園児が機器を装着し、園から公園へ徒歩等で移動、公園で活動する中で、装着感や使用感、見守り機能の正確性などを検証した。
実証実験に参加したのは、アルファメディア(神奈川県川崎市)、余白文化(愛知県名古屋市)、フォーカスシステムズ(東京都品川区)、ワイイーシーソリューションズ(神奈川県横浜市)の4社。
アルファメディアは専用ビブスまたはアームバンドに挿入したBLEタグを園児が装着し、アプリをインストールしたスマホ(Android)から園児が周辺(半径約50m以内)にいるかを常に検知して見守りを行うシステムを検証。余白文化は、マグネットで服を挟んで装着するタイプのGPSセンサーを装着し、専用アプリでリアルタイムの位置情報を把握。園児がWi-Fi発信機能を備えたセンサーを装着した保育士から一定時間離れるとアラートが出る仕組みとなっている。
フォーカスシステムズとワイイーシーソリューションズは、ともに小型で軽量のBLEタグを園児の名札や帽子、衣服に装着し、アプリをインストールしたスマホ(フォーカスシステムズ:Android/ワイイーシーソリューションズ:iPhone)から園児が周辺にいるかを常に検知して見守りを行うシステム。どちらもスマートウォッチと連動し、手をふさがずに通知を確認できる。
実証実験に参加した事業者からは、「机上や社内実験ではあぶり出せなかった問題点や課題が、現場での実証実験によって明確になった」「同じ園で実験を複数回でき、繰り返し比較検証ができる貴重な機会になった」「検証結果を今後の製品作りに生かしていきたい」とのコメントが寄せられた。
参加した保育所等でも、「実際に使用することでICT機器を活用することの有効性を実感できた」「保育士の運用方法や園児の反応にあわせて、事業者から改善や提案をしてもらい、実用に向けての可能性が広がった」など、効果を実感するコメントがあがっている。
横浜市は、今回の取組みをほかの保育所等に紹介するなど、保育現場で活用できるICTサービスの情報発信を積極的に行うほか、保育所等へのICTサービス導入にあたり、引き続き補助金の活用による支援を行うとしている。YOKOHAMA Hack!を通して生み出された成果は、「横浜生まれの新たな価値」として今後も全国に発信していく予定。詳細はYOKOHAMA Hack!のWebサイトで確認できる。