文部科学省は2024年4月24日、公立小・中・高等学校のネットワークの現状について調査結果を公表した。ネットワークの目安となる推奨帯域を満たす学校は21.6%にとどまり、約8割の学校でネットワーク速度が不十分な環境にあることがわかった。
GIGAスクール構想のもと、1人1台端末の利活用をさらに進めて行くうえで、十分なネットワーク速度が確保されていることが重要であることから、学校設置者の通信契約内容や通信速度を把握することを目的に調査を実施した。対象は、学校設置者である各都道府県・市区町村の約1,800教育委員会と、すべての公立小・中・高等学校の約3万2,000校。実施時期は2023年11~12月。
今回、端末を十分に活用している授業の実測データに基づき、学校規模ごとに1校あたりの帯域の目安(当面の推奨帯域)を設定した。学校規模ごとの当面の推奨帯域はたとえば、児童生徒60人で108Mbps、120人で216Mbps、180人で323Mbps、280人で408Mbps、560人で525Mbps、770人で607Mbps、1,050人で711Mbps、1,400人で834Mbpsなど。当面の推奨帯域は、同時にすべての授業で多数の児童生徒が高頻度で端末を活用する場合でもネットワークを原因とする支障がほぼ生じない水準であり、端末活用の日常化に向けてまずはすべての学校が目指すべき水準としている。
全校の簡易測定結果と照らし合わせ、一定の仮定のもとで推計した結果、当面の推奨帯域を満たす学校は、21.6%にあたる6,503校にとどまった。当面の推奨帯域を満たしていない学校は、学校規模が大きいほど多い傾向がみられた。
調査結果を踏まえ、学校のネットワークの課題として「不具合の原因特定が不十分」「通信契約の内容が十分なものとなっていない」「自治体で専門性のある職員の確保が難しく、交渉力が不足」、対応策には「ネットワークアセスメントへの財政支援」などをあげている。
文部科学省では、今回の整理した内容を踏まえ、各地方公共団体に対して学校のネットワークの改善を促し、その取組みを支援していくとしている。