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【クレーム対応Q&A】落ち着きのない子がいて迷惑

 クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第134回のテーマは「授業中、落ち着きのない子供がいて迷惑」。

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 学校に寄せられるさまざまな相談やクレーム。保護者や地域からの相談に先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第134回のテーマは「授業中、落ち着きのない子供がいて迷惑」。

新型コロナが子供の学びに与えた影響

 新型コロナウイルスは社会にさまざまな影響を与えました。たとえば、働き方に関して、それまで一般的でなかった在宅でのテレワークが一気に進みました。子供の学びにもさまざまな影響を与えました。コロナ以前から進められていたGIGAスクール構想が一気に進みました。日本中の小中学生がGIGA端末(タブレット/PC、1人1台端末)を日常的に学習で活用するようになっています。そういったことは、個別最適な学びに大きくプラスの影響を与えています。

 プラス面もあったのですが、残念ながらマイナス面もありました。GIGA端末に関しては、それを使っていじめなどが行われたり、不適切な動画を見たりすることなどが問題とされました。また、体力の低下も報告されています。そういったマイナス面の1つとして私が気になっていることが「落ち着きのない子供が増えた」というものです。知り合いの校長などと話をしていると、特に小学校の低学年でそういった傾向があり、落ち着かない学級が増えているということでした。

 「小学校低学年の学級が落ち着かない」こともコロナと関連があるのではと研究者の間では話題となっています。現在の小学校低学年の子供はコロナが始まった時、3歳から4歳です。それから3年間、さまざまな形で影響を受けてきているはずです。当初「三密を避ける」ということが推奨され、人との密な関わりが避けられました。また、マスクによって表情がわかりにくいままの環境で育ってきました。本来、幼児期に獲得すべき事柄を十分に獲得することができないまま成長し、それが「クラスが落ち着かない」という形になって出てきているのではということです。

 コロナによる体や心への影響はすべての人が受けているものです。ただ年齢によってその影響は違うと思われます。たとえば、40歳の人にとって、体や心へのコロナの影響は無い訳ではありませんが、大きくはないでしょう。それまでの30数年間で出来上がっているものがあるからです。40歳の人にとっても、コロナは色々と大変でしたが、人格や行動に大きな影響を与えるケースは子供よりも少ないと思われます。

 それが幼児の場合は、少し状況が違ってくるのでしょう。コロナの影響が大人以上にあると考えるのが一般的でしょう。こういった分野は現在進行形で研究が進んでいます。今後、どういった部分で経験の不足があり、どのような影響を与えているのかということの詳細が見出され、対応策も含めて研究が進んでいくでしょう。

学級が落ち着くための対応策

 ところで、「小学校低学年の学級が落ち着かない」ということの対応策として、具体的に取り組むこととしては「レクリエーション」などがお勧めです。その期間にできなかったと思われる「周りの人との関わり」を体験していくことが良いでしょう。レクリエーションは、人との関わりがあり、楽しさを感じることができます。これまでも学校においてレクリエーションなどは行われてきました。アフターコロナの現在、そういった取組みを増やしていくことが望まれます。学級や学年での取組み良いですが、親も交えたPTAでの取組みも良いでしょう。子供だけでなく親にとっても、体を動かすことや、自分の子供も含めて他の人と関わることはプラスになるはずです。

 本企画では、読者の皆さまからの質問を受け付けています。下記のボタンをクリックして表示されるフォームより送信ください。実際に学校へ寄せられた相談のほか、保護者が学校へ伝えた相談など、鈴木先生に対応方法を聞いてみたい相談事例を募集します。

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《鈴木邦明》

鈴木邦明

帝京平成大学 人文社会学部児童学科 准教授。1971年神奈川県平塚市生まれ。1995年東京学芸大学教育学部卒業。2017年放送大学大学院文化科学研究科修了。神奈川県横浜市と埼玉県深谷市の公立小学校に計22年間勤務。2018年からは帝京平成大学において教員養成に携わっている。「学校と家庭をつなぐ」をテーマに保護者向けにも積極的に情報を発信している。

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